スティッグリッツ教授は安倍政権にも野党岡田代表にもダメだし!

スティッグリッツ、言いにくい名前だ。ノーベル賞経済学者。筆者は経済に疎いので著書を読んだことはない。ないが、日本へきて発言した内容程度は、すでに当然のこととして識っていた。

自慢しているわけではない、要はアベノミクスの元祖市場原理主義の経済理論は、アメリカで20年前に破綻し、批判され尽くしているからだ。

その失敗理論を、日本のアメリカ留学拝跪エリートがいまだに自分たちのアカデミズム内の特権的ポジションを得て、政商化しているからだ。学者が儲けようとするおかしな経済学業界!

だからアベノミクス信者には、どのような不都合なデータや事象を突き付けてもイデオロギーとして信仰にしてまっているから、もはや学的議論もせず、挙句の果てに竹中平蔵アベノミクス仕掛け人浜田宏一までが、しゃあしゃあとアベノミクスで儲からないとか、トリクルダウンは起きないと今になっていいだしている。

自分たちだけ株や派遣受け入れ企業への援助金予算を増額させて逃げ切ってしまえば、手のひらを反してもなんとも思わない。金儲けには執着しても学説や政策理論に命をかけているわけではないのだ。

あきれてものが言えないとはこのことだ。

スティッグリッツが述べたことは、真向からの安倍経済政策の全面的批判であって、「消費税は時期がよくない」とそのことだけを忠告したわけではない。
NHKはいかにも安倍が対談して、スティッグリッツが安倍に親身に忠告してくれたようにオブラートに包んでいたが。

ここは(青文字部分)一週間後に追加記入したものである。
また官邸のいかがわしさを示す事実がでてきた。レジュメが当日の会合から2日もたって発表されたことだ。政府に不都合な内容だったため意図的に翻訳が間に合わなかったという口実でずらしたのではないかと、疑惑がもたれている。

レジュメの内容について「日刊ゲンダイ」は次のように報じている。

〈米国にとってTPPの効果はほぼゼロと推計される〉〈TPPは悪い貿易協定であるというコンセンサスが広がりつつあり、米国議会で批准されないであろう〉〈特に投資条項が好ましくない――新しい差別をもたらし、より強い成長や環境保護等のための経済規制手段を制限する〉

ただ、これは官邸の事務局による和訳で、本来の英文と比較すると、これでも「意図的に差し障りのない表現にしている」と言うのは、シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト田代秀敏氏だ。

「〈特に投資条項が好ましくない=Investment provisions especially objectionable〉ですが、強い不快感を表す単語【objectionable】を使っています。正確には、〈投資条項が、とりわけ、いかがわしい〉と訳すべきでしょう」

 他にも【inequality】を和訳で、アベノミクスに好都合な場合は「格差」とし、不都合な場合は「不平等」とする“都合のいい”使い分けが散見されると指摘する。


スティッグリッツは、トリクルダウンは起きない、ゆえに法人税率の引き下げは意味がないとも批判している。

さて、問題の深刻さは、民進党岡田代表が、党名を変えても人も考えも旧態以前だというマヌケっぷりを、安倍同様スティグリッツに暴かれたことだ。

野党とスティグリッツが夕食会をした。その折岡田は日本は財政借金が多くて、国民は身動きが取れない、財政健全化をしないとダメだというと、スティッグリツツは即座に否定した。
国民の消費を活発にして、景気浮揚策でないとだめだと。つまり暗に減税を示唆しているのである。

菅元総理時代、財務省に丸め込まれこうとつに増税を発表した。岡田もこれでは自民党以上に再び増税をいいだすだろう。
相も変わらず政治音痴である。
スティッグリッツは、先進国の共通した不況は、基本的な供給過多、すなわちひとびとがモノを欲しがらないからだと述べている。
あるいは欲しくても給与が届かないため、GDPの中身である消費が伸びないという指摘だ。

日本人は、いまだにモノが豊かになったから貧困はない、と思い込んでいる。若者のすさまじい貧困、先進国中の貧困率トップという事実に現実感が追い付いていない。いまだにアジア後進国と比較して優越感に浸っている。

このレトロな脳みそでは、日本人はどこまでも豊かにはなれない。
豊かさとは、賃金労働者が、時間拘束から解放され、各人が自由に好きなことをできる自由時間の獲得量に置かれていくことだ。

事実修正資本主義は自らの保身もかけて進展したが、労働時間は短縮され、週48時間とされた。いまの賃労働の付加価値からすれば、週休3日でもおかしくない。
或いは、すでに北欧諸国が、税の均等配分に極力近づければ学費医療費の無償化、母子家庭の生活保護出生率向上が達成できるのである。

スティッグリッツは、アメリカのようになるなよ、日本は国民の貧富の格差も問題だと指摘しながら、今までの利益配分型政策でいいのではないか、と示唆したのである。

それにしても、わたしたちは与野党の間違った政策のはざまで、じわじわ生活を破壊され、トンネルや河川治水や交通インフラなどの劣化から、いたるところで事故を発生させ、命を落とすことが恒常化してくるだろう。

貧しさとは、モノがあるなしではない、時間が他者に占有され奴隷状態に置かれている状態、また公共性が高度に維持されなくなったことをいうのである。

貧しさに覆われたときはもう遅いのである。