俳句業界の風景雑感

先日関西の現代俳句協会の句集祭に招かれて出席した。
老人の貧困化に伴い句集を出す人も減ってきているのではないか。出席者は100人もいたかどうか。
句集の解説をさせていただいたが、何か場違いな感じがして少し勇気がいた。

「秋風のあれが鉄橋爆破未遂」を例句としてプリントしてもらっていたため、この句を説明せざるを得ない。
葛飾矢切の渡しから荒川堤防を南下してくると荒川鉄橋が遠くに見えてくる。昔この荒川鉄橋に爆弾を仕掛けて昭和天皇を爆殺しようとしたのが東アジア反日武装戦線「狼」だった。見られたと思い撤収して未遂となった。そのリーダーがわが同人の大道寺将司死刑囚(故人)である。
まあそんなことを思い出してふと現地で詠んだ句だと。

俳句業界の主流には社会的事象を詠むことはルール違反だとでいう雰囲気が蔓延していて、私のような者は異端であることは間違いない。なにも俳句でそんなことを言わんでもいいだろう…と無言の声が背後でしているような。

一部からも「社会性俳句」は単純に社会主義リアリズムだととんでもない規定をする始末だから、もはや社会と切り結ぶ詩性は禁圧されたも同然だ。
こうなるとし師匠の伝統を意地でも貫いてやる、といきりたてば立つほど選にはいらないのである。