俳句作品「余白」望月至高−『豈』48号掲載  

    余白

冬天の空位のときを青鷹

微塵より微塵に還り冬銀河

冬薔薇をもてライバルの抒情打つ

寒月光樹樹は行く手の楯となり

雪解川水嵩をまし改憲派

帆をあげて未来へ還る涅槃西風

いくつかの助走のあれば椿落つ

男根は<外部>に遊び月おぼろ

花は兵<余白>に員数記するかな

「遠くまでゆくんだ」渚の蜃気楼

総長のかかる企み田螺鳴く

沈丁花はたして夜の華やげり

菜の花の風に波打つ法の網

宙吊りの手脚からまり桜の木

正義とは検事のまとう花の闇

女より少女にちかし桜貝

あきらかの道は尽きたり鳥雲に

飛花に友はなほゆくべきや絞首台


本日5月25日『豈48号』が届いたので、とりあえず作品の掲載のみ。
おいおい掲載作品の寸評は時間が許す範囲で。