「自公政権の検証」と「自民・民主」のマニフェスト評価

読売新聞8月3日「自公政権実証検証大会」
同   8月10日「自民・民主政権公約検証大会」
と銘打った特集記事である。読売購読の読者は眼にされた方も多いだろう。

何を基準に読売が9団体を恣意的に選んだかは、なんの説明もないが、うすうす点数の出方が客観性を装って、一定の方向へ向くよう印象操作がなされていることは誰にも感じ取れる。

そういった恣意的な団体選定は論調の範囲で好きなようにしてくれたらいい。軽薄にそれをもって新聞メディアの偏向だとか言わない。むしろこれらの団体もTVへ頻出するいわゆる物知りか顔の軽薄な「識者」「コメンテーター」と言われる人種も含めて、わたしのような貧乏人ではない、ということだけはハッキリしている。
そしてわたしには意見を訊きにきたこともないし、取り上げて欲しいような団体は一切メディアに登場せず、日本の国の未来はこうした既得権益層につながるどう転んでも食いつなげることがハッキリしている者たちに特権化されている、と言わんばかりである。

こうした特集と団体が何物かジックリ眺め透かして、送り出されてくる情報からわたしたちはわたしたちなりの方法で、未来を考えるしかないということを改めて思うのだ。

と前置きして、点数比較だけみておく。

数値は下記の順。

自公政権実績(政権運営・政策実現)  ・  新公約(総合評価自民VS民主)           

経済同友会--------(35・50)  ・  (自45VS民45)

連合----------------(20・30) ・  (自45VS民70)

日本青年会議所----(40・46)  ・  (自49VS民63)

PHP総合研究所-----(43・58)  ・  (自59VS民57)

言論NPO------------(30・41)  ・  (自36VS民31)

日本総合研究所----(36・38)  ・  (自51VS民53)

構想日本----------- (50・50)  ・  (自39VS民62)

チーム・ポリシーウォッチ----(45・45)  ・  (自35VS民35)

全国知事会---------(58・56)  ・  (自60VS民58)  


(注)このほかの評価項目に、政権運営構想があるが、全国知事会以外は全て民主党が10点から40点近い大差で上回っている。

まず、知事会なんかどうでもいい。というのは、8割以上が旧自治省辺りからの官僚出身者だから、中央の意向を体現するしか自分の存在価値はないと思っている連中ばかりだし、橋下、東国原あたりは大儀名分の地方分権をいいつのるが、本来ウルトラ保守でしかなく、未だに自民党という古臭い政治手法にあこがれているだけの思想的にも歴史文脈的にも極めて不勉強且つ脊髄反射人間でしかないからだ。橋下の言い分は支持するが、知事が何でもできるようにせよということが地方分権ではない。知事を厳しくチェックし必要ならリコールをもつと簡単にできるようにするということが同時に保障されている、それが分権論の中身だということだ。
道州なんかコストがかかってしょうがないだろう。政府機関とフラットに拡大市区の並立で十分だ。この狭い日本にそんなものいくつもつくればまた役人が巣食うだけだろう。橋下はもっと勉強しないとただのバカ駄々っ子だね。


言論NPOは、2001年発足の政策評価などを行う非営利組織。代表は工藤泰志元「論争東洋経済」編集長。会員500人ほど。
工藤氏はなかなかではあるが、アドバイザリーボードは佐々木毅元東大総長や北川正恭自民党衆議院議員(元三重県知事、知事実績は諸改革の評価ありか?)の現実保守派のようだし、あの宮内義彦オリックス会長が入っているからいい加減なものじゃないか?自分の会社さえまともに経営できないやつがアドパイスとは笑わせる。


日本総合研究所は、ダーティバンカー西川喜文の三井住友ファイナンシャルグループのシンクタンクであり、正式社名は?JSLO。所詮目線はどこにあるか知れている。


構想日本は、非営利の政策研究所。会員600人。代表は加藤芳樹慶応大教授。元大蔵官僚。東京財団会長。政策アドバイザーに岩井克人元東大教授が参画しているようで、新古典派経済学の批判では定評があり、著書も面白いが、いずれにしても貧乏人のことは盆と正月にちょっと思い出す程度だと思う。きわどいのは桜井よしこのような軽薄な右翼おばさんが推薦に顔を出しているところである。


悪名高きチーム・ポリシーウォッチだが、もう説明するまでもなく竹中平蔵アメリカ好き好き何でもアメリカが基準(グローバルスタンダード)仲良しクラブだ。今回奇妙なのは民主党に評点がいいことである。「改革未遂」で余程小泉以後の麻生らに近親憎悪したのか?それとも早くも権力へ取り入る得意技を発揮し始めたか?マニフェストと新運営を自民民主同点としたのは、並々ならぬしたたかさだ。もうあなたは終わってるの、いい加減に解散したらどうだ。


最後に連合だが、民主党の支持母体だから当然の評価結果になつているが、過信は禁物である。軽薄右翼はオツムが回っていないので反自民の権化のように思っているが、労使協調という財界の補完物だから、民主党政権になったら今度は民主党の補完物になるよと言っているにすぎない。彼らが本当の弱者やこの生きがたい「底の抜けた」時代に何か創造的な提言をして切り開いていく、などということは期待できない。


非正規社員救済に見向きもしなかったり、兵庫や静岡の連合のように税金垂れ流しの空港を財界と一緒になって住民反対運動や民主党議員を封殺する愚劣な連中だから注意が必要だ。


以上、どの団体をとっても庶民や貧乏人のことは生産力主義の中で派生するゴミのようにしか捉えられないという点で同一である、ということだ。


このような団体だけが次の政権を創出し、担っていくわけではない。彼らに洗脳され絡め取られるないように。お前は何処に立っているのだ?まずお前の生活感情の中からものを考えよ、そこからしか本当のことが見えてこない。いきなり総理大臣や天皇になったつもりでモノを言うな、ということであろう。