■ミートホープの赤羽常務の勇気とクソ壷


告発は終わらない―ミートホープ事件の真相

告発は終わらない―ミートホープ事件の真相

この赤羽常務は日本の古武士のような清廉で勇気と見識をもった、経営者として鏡のようなひとではないか!

それにしても、学校給食センターの役人、官庁出先事務所役人、保健所役人、NHK官僚、新聞TV社会部デスクのデタラメさ、なんというクソ壷だろう!

かろうじてさすが朝日新聞だけは、正常な善悪判断をもった記者がいたようだ。

メディアや記者クラブが悪いと叩いてばっかりいればメディア問題が解決すると思っている上杉隆みたいな少し軽い連中は、こういう朝日のような役割もまだ機能していることを理解しておくべきだ。

それにしても、告発から10年もかかってやっと役所や世論がうごくといのは、どう考えても日本の市民社会というのは薄っぺらいものでしかないと戦慄さえ走る。

今のような煮詰まった社会になると、国家が直接国民をコントロールする幻想側へシフトせざるを得ないし、またそういう国家が直接国民を包摂しているように錯覚するのだが、そうではないのだ。

市民社会の深度、或いは厚み、といったものが機能しないことには、こういう赤羽常務のような、それぞれの職業倫理やモラルをもったひとたちが排斥されてしまうということを如実に語っている。

この事件は、日本のいわばクソ壷を照射した事件だった。

西宮冷蔵の雪印告発事件の折も、社長を背徳の人として扱った役所と世間の対応はムチャクチャのものだった。

告発という行為が、日本の古層にある村社会の掟違反であったり、役人の事なかれ主義に刺さる棘であるなら、この国には空恐ろしいクソ壷が闇の中に埋められているということだ。

そのクソ壷にわれわれはいつ落ち込むかもしれないと思うと、他人事には思えないのである。