アップルiPad販売の杜撰さと傲慢さ

いよいよ前評判の高いiPadの発売が迫ってきた。
娘が就職し、たまたまPCが壊れたのでiPadを勧め、わたし自身も購入を検討し始めた。

HPで調べていると、どうも付属アクセサリーのキーボードも日本語入力ができるのかできないのか不明である。

そこで電話問い合わせしたのだが、電話がスムースにつながったのは流石だと感心したが、応答の内容に愕然とした。

対応にでは女性従業員とのやりとりを簡潔にまとめるとこうなる。

1.キーには日本語表示がないが、日本語直接入力はできるのか?
 (答) HPやその他表示している入力方式は、すべてローマ字入力を前提にしている。
   直接日本語での入力は、まだ本社から製品がきていないので解らない。返答できない。

2.あなたがコールセンターの方か正式の従業員か?
(答) 正式の従業員です。

3.であるならその件で私の要望とかをしかるべき担当者へあげてもらえるか?
 (答) 購入前のお客様にはそういった技術的なことは受け付けられない。

4.要望ということだけでも、購入検討の客として声を拾ってもらうというこはできないのか?
 (答) 購入後の客には対応するが、購入前の客にはそういう部署も担当者もいない。

5.購入前の客こそ、要望がかなえられれば買う見込み客ではないのか、購入に逡巡している客 がどこに不足があるか知っておくのがマーケティングではないのか?
  (答) (困惑しながら)申し訳ないがいずれにしても声をきくことはできない。
以上。

きいているところでは、もうこの28日に発売するのではないのか?
それがまだ製品を見たことも機能もわからないとはどういう販売の仕方をするのだろう。
常軌を逸している。

わからなかったとしても、間もなくそういう質問は近々にでてくることは予測できないのか?
調べて後日返事をするとか、解り次第HPに附記しますとか、答えようがあるではないか。

アメリカ本社に日本支社はバカにされているとしか考えられない。
なにやら、この卑屈な日本人従業員の対応から、基地ひとつ沖縄からアメリカへ押し戻せない総理や保守政治家を思わず想像してしまった。

日本人に製品を売るなら、ちゃんと事前に機能説明ぐらいしっかり表示してから売りなさい。アメリカ本社から教えてもらっていないなどという情けないことをいうべきでない。

現在どれくらいマーケットがあるか私はしらないが、ジャーナリスト、新聞出版、研究者、物書らは、マイクロソフトの日本語が貧弱なため用を成さず、日本語ソフト「一太郎」を使っているケースがかなり見受けられる。

それと、私のようにPC普及前のワープロ時代からキー入力をしてきたものには、ローマ字入力は苦手である。それ以上に、微妙に文章がぎこちなくなり、日本語らしいしっとり感が薄れてしまう。

また日本人であるから、日本語的思考やレトリックがどこかで歪められるのではないかという恐怖感もあり、かたくなに日本語入力を続けている。
実際そういう症状が出るのか出ないのかはしらないが、自分の体験ではそんな感じをもったためにローマ字入力はやめた。

これらが日本語直接入力にこだわる理由である。

全体からすると小さなマーケットかもしれない。
しかし、日本人に売るにあたっては、日本人スタッフは日本語というものを大事に考えて、アメリカ人にこう伝うて欲しい。

日本には日本語で入力希望するひとたちがいて、これは数の問題ではなく、日本人の感受性に関わる文化の問題だから、直接日本語入力機能は必須の機能であり、またこういう人達を大事にするのが日本の文化なのだと。それが良質で世界の客に受け入れられた日本製品を造り且つ世界に売りまくったスピリットなのだと。

それにしても歯がゆいのは、こういう革命的な商品を開発できない日本メーカーの鈍感さである。横並びの似たり寄ったりの製品しか作れない。情けない。

全てのガンはそこにあるのだけれど、日本人は日本人に外国製品を売るとき、日本人の気持ちや文化まで大きく歪めない配慮をして欲しいと思う。
いまどきの外国かぶれ(この辞自体死語か!)の若者にはなに言ってるのか解らないでしょうね。
仕方ない、少し値段が高いがソニーVAIO-Pにしますかね…。