大阪府市長選挙の本質的問題--三百代言(弁護士)による政治の劣化

大阪知事選、丸山和也氏が出馬意向
(読売新聞 - 10月29日 03:03)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1793654&media_id=20

(写真は共同通信による)
大阪に縁もゆかりもない、大阪庶民に愛情も共感もない、政治実績も政治的見識もなにもないタレント弁護士を担ぐ大阪自民党は、老害としか思えない元大阪府連会長の気ままな丸山議員担ぎ出しで出だしからつまずいている。党の組織決定は倉田池田市長を支援する決定のようだが、府連議員団は分裂の様相だ。

丸山などを担ぐこの政治センスのなさが大阪をダメにしてきた。その意味で橋下徹が吠えるのもわからないではない。

しかしこの橋下が、政策の矛先を弱者や未来の種まき分野ばかりとりあげて無駄無駄という俗悪現実主義だから、大阪にはいつになったら明るい未来がくるのやら。
共産党や労組のように自組織に「明るい」と冠をつけて自称していれば未来が担えるなどと錯覚しているオメデタイのも困るが、批判にはまともに反論もできず橋下依存の思考停止人間ばかりというのが、現在の橋下支持者たちだ。

さて、直近の『千里タイムス2011年10月28日号』のジャーナリスト西谷文和氏の報告は橋下徹の本質的問題をついていて秀逸である。

わたしはかねてより橋下は語の厳密な意味でなんらかのcomplexをもっているのではないかと疑っていたが、精神科医の野田正彰は「演技性人格障害」だと診断していることを知った。腑に落ちる診断だ。




橋下知事への住民監査請求」

「橋下大阪府知事は病気である。演技性人格障害だ」。精神科医の野田正彰氏が喝破したように、最近の橋下知事の言動は、平松大阪市長への過剰ともいえる挑発行為、部下へのパワハラ(大阪府職員に自殺者急増)、思いつき発言、そして謝罪なしの前言撤回と開き直り…何でもありだ。
 暴走はとどまるところを知らず、『政治には独裁が必要』『教育は2万%強制』など、「国会議員が言えば、まずアウト!」のような問題発言が飛び出して、ここへ来てさすがに『知事はやり過ぎと違う?』と逆風が吹き始めた。人気絶頂に見えていた橋下知事が抱える2つのアキレス健。
 それは「大阪の子どもと先生が不登校になってしまうのでは?」と、非難ごうごうの教育基本条例と、巨額の血税を浪費したWTCビルへの府庁舎移転問題だ。

WTCビルへの庁舎移転問題の経過を辿ってみよう。まず2008年8月、橋下知事が大阪南港にそびえる西日本一のノッポビルを視察した際、「関西再生の光が明石海峡の奥から見えた。ここしかない」と、ほぼ独断で購入&移転を決定した。
確かに大手前地区にある府庁舎は老朽化している。誰もが現在の場所で建て替えるものと考えていただけに、突然の「移転劇」で大阪府庁は大騒動になった。府議会議員や専門家などから「耐震性に疑問がある」「防災拠点にするには無理」「遠くて不便だ」なとせ異論が噴出。しかし知事は噴出する「懸念の声」に全く耳を貸さず突き進んだ。あのおもちゃ買って!と駄々をこねる子どものように。

2009年3月、大阪府議会はWTCの購入にも反対にも移転にも反対した。ここから知事は暴走を始める。
自らが「大阪維新の会」代表におさまり、同年10月に再移転条例を提案したのだ。その際、知事は「否決されれば、出直し知事選挙だ!」と、府会議員を脅迫しながらの採決だった。この時の議会の判断は購入に賛成、移転に反対という玉虫色の結論だった。

府議会における2度の移転案否決にも関らず、「WTCビルは第二庁舎だ」という理屈で、知事は2010年頃から職員の引っ越しを開始させ、現在は約二千人の府職員が引っ越しを官僚させている。

WTCビル(咲洲庁舎)は、大阪南港の埋立地に建てられた55階建ての超高層ビル。南海、東南海地震大阪平野を襲えば、咲洲自体が液状化陸の孤島になってしまう。
はたして大丈夫なのか、と少なくないひとびとがやきもきしていた。ひして今年3月11日、巨大性地震が東日本を襲った。遥かかなたで起こった地震にも関らず、WTCビルは大揺れ。職員はエレベーターに5時間も閉じ込められ、ビル壁はひび割れて天井パネルは落下、水道水の断裂など360箇所に及ぶ被害が出た。

周辺の建物はほとんど揺れなかったのに、なぜWTCビルだけが大揺れしたのか?
それは長周期振動である。今回の地震で、大阪の地盤は6秒のスピードで「ゆっくりと揺れた」。一方、建物には独自の振動周期があり、これがビル10階の高さで約1秒に相当する。
調べて見るとWTCは6.5秒だった。物理学で共鳴、共振を習わなかっただろうか。同じ波動で揺れるものは、共に影響して振幅が極大になるのだ。

「だからWTCに庁舎移転すべきではなかったのだ」という常識的指摘に対して、知事は「当時は巨大地震は想定していなかった。予測できない事態で責任を負うなら政治は一切できない」と開き直った。「原発事故は想定できなかった。想定外だ」と言い訳する東電ソックリの対応だ。

8月、さすがに橋下知事WTCへの全面移転を断念。しかし2千人もの職員、来庁者、テナント経営者などの安全を考えると、早期に耐震工事を行わねばならない。その工事費が、一部報道では130億円もかかるといわれている。
購入費85億円、職員の移転費約11億、耐震工事費(今後いくらか分からない)は全て、大阪府民の血税である。

 そんな状況の中、「怒らない大阪府民」もさすがに堪忍袋の緒が切れた。

 10月19日、市民団体「橋下徹さんが元のテレビタレントに戻られることを願う大阪府民の会」(通称:ハシモトドオリの会)が、WTCビルへの府庁舎移転にともう約96億円におよぶ支出の返還を求めて、住民監査請求を行った。

 この住民監査請求は今後、提出者たちの「意見陳述会」などを経て、今後の60日以内に大阪監査委員会が購入や移転費用の支出が適切かどうかの最低をくだすことになる。(了)

(注)西谷文和氏は元吹田市職員で現在フリージャーナリスト。1960年生まれ。「イラクの子どもを守る会」代表。
   この記事の転載にあたり快くご了承いただき、記して感謝申し上げます。


とりあえずここでの問題は、委員会裁定の結果の予測ではない。

政治家の資質として取り出される最低の資質である。

つまりリーダーシップは独断専行ではなく、全ての人とまではいかなくても8割ぐらいの人たちがやむなしとして支持する説得力のことだろう。
その実績の結果からでてくるヘッドシップ(おのずと頭が下がる尊敬の念)のことでもある。日本の政治運営には、コントロールを嫌うため特にこのヘッドシップは不可欠で、それが不足している場合は金や利権をばらまかなければ政治目的を現実化できない。

もちろん脅迫などあってはならない。橋下は弁護士のくせに脅迫のもとの意思表示が無効であることをしらないのだろうか?

気を付けなければいけないのは、目に見える箱モノや制度は大衆にも政治家自身にも解りやすいため、それを政治家の実績とみたり価値として評価することだ。
その点、橋下の打ち上げる政策はこのWTCビル移転、大阪都構想伊丹空港閉鎖跡地への第二首都20万人都市構想、などのインフラ箱モノばかり。ソフトでは国歌起立斉唱条例設置や今度の教育基本条例など自由と未来へのタネを摘んでいくような強圧ばかりである。
派手に騒ぎ立てるが残念ながら橋下は凡俗の政治家と同じ手法であり、自己宣伝するほど新しくはない。

平松市長が、ひったくりワーストワンからの脱却や、放置自転車解決や、市職員の意識改革といったソフト面を実績にあげるのと対照的だ。

橋下がいう無駄は確かに問題だが、彼の頭の中には庶民の利便性が無駄であって、金持ちや既得権益層の利権は無駄ではないという歪んだ基本認識があるから極めてイデオロギー性をおびている。
条例で宗教法人へどんな名目でもいいから課税するとか、悪質巧妙な脱税者への取り立てを強化するなり、暴力団の脱税や消費税の徴収システムの矛盾など、そういう強者への対処は全くない。
公務員の給与カットも、確か警察だけは避けていたと記憶する。

そして、個人的に感じる最大の欠点は、「民を視ること傷むが如し」というイデオロギーぬきの庶民への慈愛の眼差しの欠如である。
自分の意見や政策に反対者はすべて敵だとみなして口汚くののしる姿勢から、子どもたちは何を学ぶと思っているのだろうか?