菅官房長官の「マスコミ狩り」で「戦争ができるという常識」を洗脳する

ナチス第三帝国ヒトラーの片腕ゲッペルスの存在抜きには語れない。
安倍総理の空虚なひと時代前の政策は、滑りまくっているにも拘わらず手柄として平然と誇示している。ひとえにゲッペルス官房長官の「マスコミ狩り」の成果である。

サブリミナル効果、というよく知られた心理操作の概念がある。日々見聞きしていると、それを虚偽でも信じはじめる。なにげない美しい物語の映像の合間に瞬間的に挿入された映像を何度もフラッシュされると、心の中に本人が無自覚のまま取り込まれ真実と錯覚していく、という心理学上の概念である。

近くは、東日本大震災後、東電や行政の責任追及をかわすため、マスコミは金子みすずの美しい詩を垂れ流し、「絆」を強調した。
「みんな、力を合わせて復興に手をつなごう、ゴチャゴチャ言うことはフクシマのことを考えない非国民」だという、「常識」を醸成し、加害/被害の関係を問うことを「雰囲気として封殺」する効力を発揮したのである。
マスコミの意図は効果を発揮し、現在東電や政府への責任と保証は霧散して、15万人がいまだに自宅に帰ることができていない。

今回岸井成格キャスターの降板の舞台裏が赤裸々に明かされた記事が出た。
古賀、古館、国谷、とつづき、ほとんどが言論商売人に置き換えられていく。

その意図は破綻している政策を手柄に転換し、「改憲への常識」を静かに深く国民の常識にしていくことである。
「いわゆる雰囲気」、「みんなそういってる」、「そんな上が間違ったことはしないよ」など、懐疑と思考を忘れた一億総白痴化、選挙へ白紙信任投票として改憲への道筋を作る意図であることは多くの識者も一致した見方だ。

ゲッペルス=菅官房長官の仕掛ける「マスコミ狩り」の生々しい手法が以下の記事である。

官房長官岸井成格の勉強会にお忍びで…古賀茂明らが証言する安倍政権の圧力と懐柔、その狡猾なやり口

政権を監視し、報道の使命をきちんと果たそうとしたニュース番組のキャスターやコメンテーターたちが次々と降板に追い込まれるという誰の目にも明らかな異常事態が起きた2015年。テレビ各局は萎縮と自主規制の空気に支配され、今では、安倍首相が国会でどんなトンデモ答弁をしても、ほとんど取り上げないという、機能不全状態に陥ってしまった。

 こうした状況をつくりだしたのはもちろん、安倍政権の圧力だが、その実行犯といえば、やはり、“安倍政権のゲッベルス菅義偉官房長官をおいていないだろう。

 本サイトでは、菅官房長官によるテレビ、新聞、さらには週刊誌への具体的な介入について再三、報じてきたが、ついにあの人が菅氏の“やり口”について語った。

 あの人とは、昨年のメディア圧力事件の象徴的人物であり、菅官房長官の圧力により『報道ステーション』(テレビ朝日)を降板に追い込まれた元経産官僚・古賀茂明氏だ。

 古賀氏が菅官房長官について語ったのは、「週刊金曜日」(金曜日)2015年12月25日・1月1日合併号に掲載された鼎談でのこと。この鼎談には、古賀氏のほかに評論家の佐高信氏、上智大学教授の中野晃一氏が参加。最初に話題に挙がったのは「放送法遵守を求める視聴者の会」による『NEWS23』(TBS)のアンカー・岸井成格氏に対する意見広告についてだったが、まず、これに対し古賀氏は「いやー、ここまでやるかなという感じです」と驚嘆し、このように述べている。

「賛同人の名前を見れば、安倍政権の応援団がしてることです。安倍政権が本気でこのまま突き進めば放送については完全に国家統制の時代に入りますね」

そして、古賀氏のこの発言につづいて、佐高氏は菅官房長官について言及。佐高氏は、現在のBPO放送倫理・番組向上機構)は元々、菅氏が総務大臣時代に「総務省の下に第三者委員会みたいな組織」を作ろうと画策したものの、当時の日本民間放送連盟会長で日本テレビ会長の氏家齊一郎氏らから反対にあい、現在の独立したかたちになったと設立経緯を説明。このことをいまも菅官房長官は「総務省の下につくるべきだった」と悔やんでいるらしく、そうした点を踏まえて佐高氏は安倍政権の報道圧力について「政権全体の動きと同時に菅個人の問題、ある種の陰湿さが背景にあると思うんです」と述べている。

 この佐高氏の言葉を受け、古賀氏も“直接の被害者”としてこう語っている。

「もちろん菅さん個人の思いが強烈にあると思います。菅さん中心に官邸が、とにかくマスコミを抑えることを、ある意味、政策よりも最優先課題として、ずっと対応してきている印象ですね」

 政策よりメディアへの圧力に尽力。──それが官房長官の仕事か、とツッコみたくなるが、さらに驚きなのが、佐高氏が学生時代からの付き合いである岸井氏本人から聞いたという、菅官房長官の知られざる“裏活動”だ。

「岸井が私的にやってる勉強会に、突如菅がやって来たことがあるそうです。出席するメンバーの誰かから聞いたんでしょう。一方で、菅は「忙しくて翁長(雄志)さんにも会えない」と言っている頃ですよ」

 なんと菅官房長官は私的勉強会にまで探りを入れ、岸井氏に直接会いに行っていた、と言うのだ。しかも、岸井氏は菅官房長官から、このようなアプローチも受けていたらしい。

「勉強会の最初から最後までいて「いいお話を聞かせていただきました」と言って帰っていったそうです。そして、菅から「あらためてお話を伺いたい」と連絡がきたと岸井が言うから、私が「岸井、応じろ。そのとき友だち一人連れていくと言え」と」

 どうやら佐高氏は菅官房長官との対面にまではもちこめなかった様子であるが、一体、菅官房長官が岸井氏に近づこうとした理由はなんだったのか。その手の内を、今度は古賀氏が語っている。

「菅さんの攻勢はすごいですよ。昼も夜も時間さえあれば、とにかくテレビに出るようなキャスター、コメンテーター、有識者の人たちとご飯を食べるそうです。これは菅さんに極めて近い人の話を間接的に聞いたんですけど」

メディア関係者と会食とは、まさしくやり口は安倍首相と一緒だ。それにしても、定例会見を見る限り、菅官房長官は無愛想極まりないが、会食中はどのような態度なのか。これもまた古賀氏が詳細に明かしている。

「もちろんあからさまに圧力をかけるんじゃないですよ。「いやー、先生のお話は面白いな」とおだてながら、「今度役所の方でも勉強させたいんで、ぜひお話しをしてください」と持ち上げるんだけど、それをやられた方はほぼ全員寝返ったそうです。民主党のブレーンとか、政治評論家とかいっぱいいるじゃないですか」

 いつもは無表情なのに、一転、愛想笑いを浮かべゴマをする菅官房長官……。想像するだに夢に出てきそうなおっかなさだが、この菅式メディア骨抜き作戦によって寝返らなかった人こそ岸井氏だったのだ。古賀氏は「だから、官邸では「岸井っていうのは筋金入りだ」と怖れているそうですよ」と言う。

 無論、岸井氏はジャーナリストとして当然の態度を取っただけだ。しかし情けないことに、このような岸井氏の毅然とした姿勢も、テレビ局や新聞社では政権の御用記者と化している政治部経由でクレームが入り、跳ね上がり扱いされるこ
官房長官岸井成格の勉強会にお忍びで…古賀茂明らが証言する安倍政権の圧力と懐柔、その狡猾なやり口

とだろう。本来ならば権力側からの圧力には強い意志ではねつけるべきところを、「取材できなくなると困る」「怒らせたら呼び出されるかも」と恐れ、いまでは不都合な話題にはふれることさえしない。このような及び腰で、国民の知る権利を守り、権力を監視するというジャーナリズムの役目を果たすことなどできるはずがない。

 また、恐ろしさを感じずにはいられないのは、中野氏による今後の“予測”だ。本サイトではいち早く、岸井氏の後任として朝日新聞特別編集員で保守派寄りの政治部記者である星浩氏が打診を受けているとスクープしたが、中野氏は星氏後任人事が現実化したときの『NEWS23』をこのように分析する。

「やり方として非常に巧妙なのは、岸井さんから星さんに変わったとき、いろんなことを追ってない人から見れば、すーっと静かに右にずれていくのがわからないようになっています。同じ番組を見ていたら、『朝日新聞』の新しい人が来て、当たり障りのない範囲でちょっと批判っぽい感じのことを言っていって。実際はどんどん右にずれている」

 どんどん右にずれていくのに、多くの視聴者がそのことに気付かない。──同じことは、古舘伊知郎の後任に自局の富川悠太アナウンサーを立てた『報ステ』や、国谷裕子キャスターを降板させ22時に枠移動する『クローズアップ現代』(NHK)でもきっと起こるだろう。

 そうして政権が報道を右にずらしていった先にめざすもの……それは改憲に肯定的な世論の生成であり、戦争状態を容認する戦前のような体制づくりだ。

 安倍政権の邪悪ぶりには言葉もないが、しかし、これは安倍首相や菅官房長官だけの問題ではない。メディア関係者はかれらの暴走を許している自分たちもまた同罪であるという認識を強くもってほしい。
(水井多賀子

http://lite-ra.com/2016/01/post-1886.html