ベルギーへ一年のうち1/3ぐらい滞在している知人が言うには、ベルギー人はまさか自国でテロがおきるとは思っていなかったと解説する。
彼は、フランス語の教師で内田樹とは学生時代からの友人であり、職場も長年いっしょだった。筆者とは現象学研究会での研究仲間として長年親しくさせてもらっている。
フランスとベルギーを愛し、定年後は悠々自適、ベルギーへしばしば遊びにいっている。
日本帰国時期でよかった。
彼がいまや世界中どこでテロが起きても不思議ではなく、また巻き込まれるのは日常の一コマになるだろうと。
筆者は、しかし日本にはそれほど中東に帝国主義的侵略に加担していないし、国内にムスリムが多いわけでもないから、現実感がないねというと、彼はそんなことはない、日本だっていつ起きるか分からないと憮然というのだ。
まあ彼の方が、国際感覚もヨーロッパ事情も皮膚感覚で解っているだろうから、その通りなのだろう。
しかし確実にテロ発生の確率が高くなるのは、26日から施工される安保法制以降で、自衛隊が今以上に中東へ展開されていった場合だろう。
いままでと違って、本格的に駆けつけ警護という名の戦闘が可能になり、過激原理主義武装勢力と交戦してからだろう。
そのときちょうど2020年オリンピックになる。
オリンピックはテロリストにすれば、恰好のターゲットで、いくら警備といっても世界から入国してくる膨大な観光客に紛れたテロリストを未然に防ぐことは無理だ。
まして日本の警察は経験もさしてない。
おそらく、9.11で犠牲になった日本人もまさかと思っただろうし(本人は死んでるから推測)、今回地下鉄で意識不明の重体の男性もまさかと思っただろう。
彼を長期出張させた本社もまさかと思っただろう。
しかしそれでも、9.11犠牲者も今回の犠牲者も、どこか現実感を持てず、すぐ忘れられてしまうだろう。
天敵のいなくなった種が、にわかに警戒心も危機感も持てないのはいたしかたないか。
そうして一国平和主義を堅持できるのか。
そうでなければ、武器をもつ相手にどういう対処の仕方が現実的に可能なのか、安倍政権の武器は当然という政策に抗するなら、真剣にリベラル派はそこまで踏み込んで提案することだ。
誰もが言える絶対正義を、生活保守リベラル市民主義の立場からいうことほど簡単なことは無い。しかしそれは文化左翼として、商売の文化左翼に堕する道だ。
もう文化左翼が失効していることはあきらかなのだから。
【追記】
これを書き上げた直後、
「IS戦闘員になるためという日本人が、トルコ当局に拘束された」というニュースが飛び込んできた。
いよいよ日本からも出てきたか!しかも日本人青年でネイティブのムスリムではない。プロフィールはいまのところわからないから、何ともいえないが、現実味を帯びてきたことは確かで、筆者のノーテンキを恥じる。