2015年参院選を終えて、私的感想

気温の変化が激しく、老体には応えます。
救急車で運ばれて以降、今度は夏風邪をこじらせ激しい咳クシャミ不快感に襲われる毎日です。
このブログもお陰さまで常時500人ぐらいの若い人たちを中心に読んでいただいているようです。かつての1000人はにとどきませんが、貴重な読者と言えます。
みなさまも体調にはくれぐれもご注意されますよう願っております。

さて、参院選も「予想どおり」与党の圧勝で終わりました。
数字の裏付けによる分析は専門家が出したものを信用しています。まだまだ深い分析が出てくるでしょう。ここでは簡単に一投票者としての感想となります。

(1)大阪野党統一候補おだち源幸氏が議席を失ったのは残念。かれは税理士でもあり数字に強いまさに良識の府に適任者といえる。いかに大阪は維新の会という奇形な政党が2議席もとるようになってしまったのか、そして自民党と瓜二つでありながら、運動という現象をつくった点で、見えるファシズムの原型である。この見えやすさは今のところ他地域へは広がらず、当選した候補者は自力を持っていた個人票の結果だろう。それにしても大阪は民進党はもう少し頑張って欲しいものだ。

(2)国民怒りの声が、まったくマスコミに乗らない理不尽な諸派扱いされたため全滅である。小林節氏も、護憲派の見識ある学者で、良識の府にふさわしい。
マスコミは徹底的に無視しながら、選挙で与党圧勝と出たとたん、封印していた「改憲勢力多数」と改憲問題を大っぴらにいいだした。
安倍総理は、すでにわが党は以前から改憲をかかげていた、これから憲法審議会で論議していく」と選挙争点になることを目くらまししながら、勝利の感想のなかでいいはなったのだ。
こういう姑息さとマキャベリズムはさすがと言うほかない。

(3)苦しんでいる福島と沖縄は与党敗北、議席を失った。
日本人の欺瞞を象徴している。口や商売では絆など連呼しながら一定の態度を強要しながら、彼らの問題には全く無頓着に彼らが激しく抵抗している与党を他府県民は支持した。福島の復興と浮遊する15万人の困憊、沖縄の基地負担の苦しみ、これを絆で割ったら日本全国で与党など勝つはずはないのである。
結局これほど苦しめられて、そこの住民だけが政権党はおかしいという意思表示をする国なのだ。
当選した新しい議員、なかでも沖縄の智将井波氏の活躍を期待したい。

(4)生活の党青木愛さんが比例区でぎりぎり当選。また新潟では森ゆうこさんが再び国会へ戻ることができた。岩手でも小沢一郎の元秘書をしていた方が当選。ということで生活の党もまずまずの勝利だ。
残念ではあるが三宅洋平氏は落選だったが、山本太郎氏と二人三脚で強烈に若者にアピールした点で、今後必ずつながってくるように見えた。
こういう異能で精錬で熱意のある若い世代を多く育てている小沢一郎はやはりとてつもない人物だといえるだろう。

(5)自民党支持率はわずかに下がっている。
朝日新聞によれば、勝敗を決める無党派層が減っている。理由もどこへ支持に変わったかもわからない。しかし20%程度いた無党派層が今回13%へ。
その内訳は、2013年では自民23%あったものが今回19%と4ポイント落ちている。
無党派層は、筆者もそうだが、内容をよく見極めてそのつど選択しようとする層で、自民党の富強貧弱政策やグローバリズムの影をきちっと観ているものと推測する。その無党派層の支持率は自民と民進ともに19%、共産13%、維新11%と続く。
民進無党派層には復権しつつあるようだ。ただ支持の観点は、流動的でよくわからない。

(6)議会制民主主義は政権交代をもって国民は保証される。
政権交代のない民主主義はありえない、中国、北朝鮮をみれば一目瞭然だ。
日本も民主国家だと言いながら、ほとんどこうした「アジア的政体」の遺伝子を尻尾につけている。体制に順応し、「任せて文句言う」政治だ。
政権交代が折々にないと、投票行動自身の意味を確証できない。希望の投票からニヒリズムの棄権へ転落する。
これは一国が滅亡する兆しである。民主主義は参加メンバーが一つのテーブルで言論を戦わせ、妥当なところで(正義ではない)合意する政体である。各々政体の欠点はプラトンの『国家』にも書かれている通りギリシャ時代からすでに欠陥もしてきされていた。しかし、近代になってこれ以上マシな政体はないと皆が思っている。だから先進国は民主主義を伴って豊かになった。
ただ「マシ」だということは、いくつかの条件が必要だということで、その条件をメンバーが整えなくては機能しない。
「民主政体」もどきにあることを日本人はよくよく認識しておくことである。

鼻水がキーボードを汚すのでこれにて失礼。
新聞も読まぬうちの感想悪しからず。