言論の抑圧と報道のねつ造が進む日本、壊れていく日本人

記憶のある限り従来にはあり得なかった言論の抑圧と、警察の「特高」化が進んでいることを。メモしておく。
地理的には散発的に起きているため、国民はピンとこず、問題を指摘すると「左翼」だとか、無知を棚上げしてそんなこと誰も知らないと否定しにかかる。

嘗ては天皇批判だけがタブーとされ、右翼の酷い暴力にさらされた。しかし今日本のなかに明らただの政権批判や社会批判にまで警察権力と、公務員の表現の自由抑圧が露出してきたことは間違いないのである。

1,さいたま公民館俳句弾圧事件
昨年の今頃、市民の俳句が、さいたま市三橋公民館の公民館報に突然掲載を拒否された。従来句会互選の句を載せるコーナーがあった。
理由は、国論を二分する「集団安保法制」を詠んだものでふさわしくない、というもの。
 「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」
俳句には時事ネタと呼ばれる領域があり、極めて時代の記録文学として大事な俳句である。ここの館長は、ネタだけをもって「公」にふさわしくないと、「創作表現」へ「公」的権力をもって排除したのである。
賛否両論があるという理由なら、消費税や税制や、賛否両論あるネタは官報に一切載せてはいけない。
官報はある意見を推進をした側の意見反映ばかりを「公」として載せている。こと創作表現領域の公平性とは、「ネタ」を排除することではなく、市民の多様な言論、感情、痛苦、などの表現を保証することである。官の部局の誰かが決めた主観で均一性に線引きすることではない。
創作俳句というコーナーはそういう多様な表現を前提にしているのである。そうでなければ、初めから公民館報にコーナーを作らなければいい。

この館長は、自分の主観が絶対的正義として、「公」権力を行使した。
ファシズムがまずもって役人の中間管理職の「上」への迎合と自粛から開始されることは戦前でもあきらかである。ファシズムバロメーターである。
いままで善しとしていた表現領域を排除したことはやはり特筆すべき事件である。
作者の提訴で現在裁判中である。
詳しくは、http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20151130.html

2,横浜市青葉区の高校へ警察が選挙調査
先ごろの参院選終了後、警察から某高校へ電話があり、次のような聴取を行った。
「オタクの高校生は投票率が高かった、何か対策をしたのか?」と。
どうしてその高校だけ、他校より投票率が高いとわかったのか?
これでは投票の秘密は守られていない。何らかの方法で警察は個人情報を抜き取っているか、秘密裏に個人行動を調べ上げているとしか思えないのである。
こういう警察からの教師への質問は、それだけで気の小さい小役人化した教師を委縮させ、政治への教育と投票への啓蒙を鈍られるだろう。
特高の開始として特筆される事件である。

3,長崎安倍総理ヤジ連行事件
9日長崎原爆慰霊祭で、安倍総理が登壇しようとした折「改憲反対」とヤジを叫んだ男性がいた。
慰霊祭が終わると、報道陣が男性にインタビューを始めた。すると警察がその男性を取り囲みどういう意図かといいながら警察へ連行してしまった。
このときマスコミは一切の注意も抗議もしなかったばかりか、この1件を一社も報じなかった。ヤジごときで個人をしょっ引く警察の「特高」化として特筆すべき事件であり、当然として見過ごすジャーナリズムの若い記者たちのファッショへの鈍感さとしても特筆すべき事件である。
他にも改憲反対のティーシャツやバッジをしていると東京ではしばしば職務質問をされる報告も上がっている。
こういう政権が締め付けているから、当然許されるという警察の個人表現の自由への抑圧はどんどん進行しているのである。

4,軍艦島歴史説明取り止め事件
軍艦島は有名な観光地化したあの元石炭と工場の島である。
地元のガイドの証言では、戦中多くの朝鮮人が連行されて働いていた、という歴史説明を最近取りやめたとのこと。
理由は、観光客のなかに、朝鮮人が連行されて働いていたという説明は、事実ではないという抗議が増えて、そのことでやり取りとりすることで他のお客さんに不快な思いをさせてもいけないからだと。
おそらく右翼の「歴史戦」(不都合な史実を書き換えていく運動)の先兵か影響を受けた輩が難癖をつけて困らしているのだろう。
地元では生き証人もおり、周知の事実である。これは今までの「官」のファシズムではなく民間の「草の根ファシズム」として特筆すべき事件である。
こうして虚偽の「心地よい自画像」にデフォルメしてイデオロギーを普及していくのである。
勇気のない凡庸な庶民はある閾値を超えると雪崩をうって「洗脳」へ同調快感を得てファッショ化していくのである。
それはあなたでありわたしなのだ。

5,大分警察監視カメラ事件
TBSから。

大分県警参議院選挙の候補者を支援する団体の敷地内に無断でビデオカメラを設置していた問題で、この行為は建造物侵入罪にあたる可能性だけでなく、市民のプライバシーを侵害しかねないと批判の声が高まっています。
 「参議院選挙で野党を支援する団体が入る建物の敷地内に別府警察署の署員が無断で立ち入り、隠しカメラを設置していたことがわかりました」(記者)
 隠しカメラが設置されたのは、民進党社民党を支援する団体が事務所を置く別府地区労働福祉会館。大分県警別府警察署の捜査員2人が、参院選公示前の6月18日深夜、無断でこの敷地内に入り、ビデオカメラ2台を設置しました。
 「隠しカメラは、木の根元から1.5メートルの高さの場所に設置されていました」(記者)
 設置されたカメラは縦15センチ、横10センチ。人の動きを感知する赤外線センサーがついていて建物の入り口や駐車場を撮影していました。捜査員はカメラの設置後もSDカードを交換するため、複数回にわたり敷地内に侵入していたといいます。
 映像にはこの建物に出入りする職員の姿が確認されているほか、労働組合の関係者の姿なども写っていたといいます。映像を見た関係者によりますと、人の顔や車のナンバーまで判別でき、高性能のカメラで撮られたとみられるということです。
 団体関係者が隠しカメラを発見したのは参院選公示後の6月24日。」

もう絶句する事件である。
この21世紀にこのような露骨な「赤」監視は戦前の特高警察そのままである。

これらは特徴的な事件ばかりをメモったが、安倍政権になってこのほか報道されないこうした表現の抑圧はマスコミ業界には枚挙がない。
マスコミが委縮し、官房機密費の垂れ流しで汚染された記者たちに公正な報道は期待できない。

ネットでの現場当事者の発言を拾って時代がどこまできているかを知るしかない。
憂うべき時代がきた。