日本維新の会丸山穂高議員の舌禍事件の本当の危険性

日本維新の会丸山穂高衆院議員の舌禍事件は、予想以上の国民の批判が噴出している。

大阪選出であるためか、大阪維新の会松井大阪市長は、事件直後の記者会見で、「言論の自由」を盾に丸山をかばっていた。

しかし、この国民の批判噴出に慌てて除名処分と議員辞職勧告を発表。

今度は、丸山議員が「言論の自由」を盾に議員辞職に抵抗している。

 

相変わらず、維新の茶番は吉本新喜劇並みだ、解り易い。

国政選挙が、予定されている前で、日本維新の会大阪維新も早く収束させたいと言うただの党利でしかない。

しかも大阪維新は、大阪都構想でもめている最中でもあり、地方選で圧勝したとはいえ、度重なる議員の失言が続く中で危機感もあったのだろう。

そのうち、ほとぼりが冷めれば復帰もありうるシナリオだとみておくのが、大阪人の常識だろう。

 

さて問題は、丸山批判が日本人特有の内向きの点が気になる。

多くの批判点は、憲法の平和主義に反するというもの。

もちろん考えとしては、その通りだが、それ以上に直接的に問題になるのは国連憲章に抵触する方である。

こちらは他国との取り決めであり、どのように受け止めるかは相手次第という危険であろう。

なぜ、批判はこの国連憲章に言及されないのか、護憲派がまったく内向きの平和主義で沖縄を切り捨ててきたマインドとそっくりなのだ。

 

国連憲章は以下のように規定している。

第2条3項

すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和および安全並びに正義を危うくしないように解決しんければならない。

同条4項

すべての加盟国は、その国際関係において、武力の威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

 

 

この2条は読んだ通りで、悲惨な大戦のなかから、世界の指導者が反省と新しい平和な戦後秩序を企図した大西洋憲章(米・英)と、ダンバートンオークス提案(米・英・ソ・華)を下地に、国連26カ国が結成されて締結されたものである。

大西洋憲章は、ナチスドイツがポーランド侵攻し戦勝に沸いている頃にできている。驚くのは、このときこの二大国は、既にこれは自由主義陣営が勝利するから、戦後の世界秩序を構想している点である。日本はまだ戦争に突入もしていない。

ダンバートンオークス宣言は、これも日本の敗戦一年前に出ており、この中に各国は戦争禁止、日本の再軍備禁止を記している。

日本国憲法第9条は、直接これにリンクして起こされた。

なお、「国連」と訳しているが、The Unaited Nationは、正確には「戦勝国連合」であり、単に「国連」と訳しているのは日本と韓国だけである。

日本が国連との関係では戦勝国と敗戦国であることを明確に認識しておく必要がある。

でなければ、丸山議員の失言は問題の本質にどこで触れているかがわからなくなるのである。

米軍が未だに植民地なみの安保条約を維持しているかもわからない。米軍は、周辺国の要請による日本封じ込めであり、米軍が「瓶の蓋」として占領し続けるというのが、国連の客観的位置づけなのである。

共産主義(すでななくなった)の防波堤としての位置づけで、日米が共産主義国から防衛する意味と、上記の意味の両面があることを若い戦後史をしらない人たちは勉強しておくことだ。

 

さて、それで本題。

第53条【強制行動】1.

安全保障理事会の紛争時の権限を規定しているが、長いので要所を抜粋する。

ようするに地域紛争が起きた場合、安保理が取り仕切る。安保理が介在したら安保理に従うよう規定。

「いかなる強制行動も、安全保障理事会の許可がなければ地域的取り決めに基づいて、又は地域的機関によってとられてはならない。

もっとも、本条2に定める敵国のいずれかに対する措置で、第107条に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基づいてこの機構がこの敵国による新たな侵略を阻止する責任を負うときまで例外とする。」

2.

本条1で用いる敵国という語は、第二次世界大戦中にこの憲章のいずれかの署名国の敵国であった国に適用される。

 

 

この53条は107条ともども「敵国条項」といわれるもので、2.にあるように「敵国」は日本とドイツを指している。

 

安保理の紛争解決方法に各国は従わなければならないが、「敵国」日本とドイツにはその限りでなく、周辺国の独自判断、とくに地域防衛協定などがある場合はそれを発動して、勝手に日本とドイツを叩いても構わない、と記しているのだ。

 

従って、日本の周辺国が、どうも日本はまた戦争に舵を切ったな、危ない、自国自衛のためには先制攻撃だと一方的に攻撃開始されても、文句は言えないポジションにあるのが日本である。

 

もちろん、状況の合理性、攻撃の妥当性は国際的に検証はされるにしても、戦争の口実が他国側にある点は注意が必要だろう。

そういう丸山議員のような「みなし」を呼び込む発言は、亡国に導く。

これこそ平和ボケといっていいだろう。

 

安倍晋三日本会議も、本当にナショナルな利益を求めるなら、この敵国条項撤廃を主張し、現実的に敗戦国扱いを克服する政治だろう。

観念の中で、或いは国内だけで「富国強兵」の夢を追っている場合ではないのだ。

この敵国条項は無効にしようと90年代には決議されながらも、一向に抹消される決議までには至っていない。

丸山議員の発言は、こうして「世界性」と「普遍性」において批判されなければ、ただの演技性自己愛症候群の「おもろい」奴で終わるのである。

 

なお新たに穂高議員の資金管理に問題が持ち上がっている。

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