東京都小池知事の無策と医療崩壊を区長が告発ー大阪府も似たようなものではないか⁈

大阪府も各市の対策を一元化し、厚労省方式をほぼ未だに保守しているが、検査数がいくらか増えてきたとはいえ、各市町村に府の取っている対策が情報共有されているのだろうか?

市の保健所にきいても、「言えない」、「今の段階は教えることはできない」、「矛盾は沈黙でやり過ごす」。

市会議員に訊いても、ほとんど具体的になにも解っていない。

厚労省ー府知事ー各市保健所と三者の間でだけ上意下達で管理されているのではないのか?

大変危惧するところである。

杉並区長の怒りの告発は、大阪府の各自治体でも起こりうることとして、府市民は吉村知事のパフォーマンスを警戒の目で見ていく必要があるだろう。

 

小池都知事が発表する数字には嘘がある」田中良・杉並区長が“医療崩壊”の現場から怒りの告発

4/16(木) 20:06配信     文春オンライン

連日、うなぎ登りに増える新型コロナウイルスの感染者数。群を抜いて多いのは東京都だ。4月14日までに2319人が陽性となった。しかし、そこには隠された「実態」がある。そう指摘するのは田中良・杉並区長だ。

【画像】店舗は休業、病院にはテントの発熱外来センター……杉並区の“コロナ対策”の現状

 杉並区は同日までの感染者数が125人と、東京23区で4番目に多い。このため、区内の感染者用の病床が埋まってしまい、陽性と分かっても一度も病院に収容されない患者が30人を数える事態となった。救急にも支障を来すようになり、ついに医療崩壊が始まる瀬戸際にまで追い詰められた。

 医療政策は区ではなく、国や都の仕事だ。しかし、小池百合子東京都知事は、医療現場の崩壊に対処できていない。見かねた杉並区は13日、約25億円をかけてウイルス対策用の病床を増やすなどの独自策を打ち出した。ところが、都が正確な情報を明らかにしないために、区の対策が翻弄されている面があるのだという。いったい、どういうことなのか。田中区長に緊急インタビューをした。

◆◆◆

あっという間に病床が埋まってしまった

――ウイルス検査で陽性になっても、自宅待機とされる人が増えているのですか。

田中 杉並区で最初に陽性者が見つかったのは2月でした。この時はすぐに収束し、以後の検査でも陰性の人ばかりでした。様相が一変したのは3月19日です。数名の陽性者が出て、以後はどんどん増えていきました。区内の新型コロナウイルス対策用の病床は、民間の2病院に4床しかありませんでした。そこで2病院が約20床まで増やしたのですが、感染拡大のスピードの方が早く、あっという間に病床が埋まりました。現在、約30人が自宅待機とされています。

――杉並区だけの現象ですか。

田中 いえ、私が入手した他区の情報では、杉並より多くの待機者が発生している区があります。全体の動向からも推計すると、23区全体ではどんなに少なく見積もっても200人程度が自宅待機になっているのではないかとみています。こうした数字を“推計”するしかないところに、大きな問題があるのです。

都が発表している数字に「自宅待機者」はいない

――そうした実態は明らかになっていません。

田中 都の発表では自宅待機者が「いない」のです。例えば4月13日時点で、都内の陽性者数は2158人でした。うち入院中が2064人、死亡が42人、退院が52人とされています。どこにも「自宅待機者」はいません。

 都はウイルス対策用の病床を2000床確保したとしています。4月7日からは、208室のホテルを丸ごと借りて、約100人とも言われる軽症者を病院から移しました。ならば、入院中とされている2064人は全員収容できる計算です。にもかかわらず、大量の自宅待機者が発生しています。数字に嘘があり、実態が闇に隠されているのです。

――自宅待機者が増えると、どのような問題が生じるのでしょうか。

田中 独り暮らしの感染者は、買い物や食事に外出せざるを得ません。行動は各感染者に任されているので、中には区をまたいで知り合いの家に行ってしまうような人もいると聞いています。また、症状が急変する場合もあると伝えられているので、健康観察の必要があるのではないかと考えてきました。このため、生活支援チームを設けたり、自宅待機者をどこかに集約したりすべきではないかと、対策を検討してきました。

自宅待機者が出すごみをどう処理するか?

――自宅待機は近隣とのトラブルにつながりかねないのでは。

田中 感染者が飲食店へ行ってトイレを使うと、後で使用する人に飛沫感染の恐れがあると言われています。

 ゴミも大きな問題です。小池知事は感染者が出すごみは通常の家庭ごみとして処理してほしいとする文書を23区長会に提出しました。しかし、病院では医療系廃棄物として扱われているだけに、住民不安につながりかねません。都はごみ袋を二重にし、縛って出せば大丈夫だという考えです。が、実際にはカラスがつついてバラバラにされることもあります。そうした時にはボランティアで整理してくれる人もいますが、感染のリスクはないでしょうか。ごみ収集車で圧縮する時に袋が破れて飛沫が飛ぶと、収集職員に危険が及ぶかもしれません。文書1枚で依頼するような話ではなく、都民に納得がいくように説明すべきだと思いますが、いまだになされていません。

――簡単に自宅待機とは言えない問題があるのですね。ただ、小池知事は新たにホテルを確保して、自宅待機者を移すと表明しました。

小池知事は説明責任を果たしていない

田中 数字上いないはずの自宅待機者が何の説明もなく、突如として公然化されたのです。多くの都民は自宅待機者が大勢いたと知りませんから、驚いたと思います。ホテルへの移送は進めてほしいのですが、いきなり発表するのではなく、検討しているのなら区にも教えてほしかった。私達は自宅待機者対策に頭を悩ませ、様々な準備を進めてきました。それが必要ないなら、この重要な時期にもっと別の対策に力を注ぐことができました。

「ガラス張りの都政」を標榜していた小池知事なのに、説明責任を果たしてるとは言えません。

――4月13日に杉並区独自の対策を発表しました。

田中 都の対応が遅く、もう待っていられなくなりました。医療政策は国と都道府県の仕事とされています。しかし、目の前で感染者が急増して医療が崩壊していくのを、座して見ているわけにはいきません。

――具体的にはどうするのですか。

22億円の区費を投入して計70床増やす

田中 新型コロナウイルスに感染した人の治療は、指定病院と協力病院という2階建てで進められています。大まかにいって都内に15ある指定病院で重症者を受け入れ、協力病院では軽症・中等症の診療を行います。ところが、都は協力病院がどこにあって、それぞれ何床あるか公表しておらず、我々にも明らかにしていません。これでは都区の連携はできませんし、都民も何が行われているか全く分かりません。

 一方、杉並区は、医師会、病院と緊密に連携してきたので情報を共有しています。ウイルス対策用の病床がいっぱいで、感染者を救急科で受け入れたため、救急搬送を断らざるを得なくなるなどした苦しい胸の内を病院から直に聞いてきました。そこで、区民を守るために増床しようと話し合いました。既にウイルス対策用の病床がある2院に、新たに2院を加え、今後は4院で計70床ほど増やしていくつもりです。このため22億円以上の区費を投入します。

 ただし、ウイルス対策の病床を増やすと、通常の診療がダメージを受けます。病棟を一部削らなければならなくなるのに加え、風評被害も起きかねないからです。院内感染のリスクも高まります。それでも4院は立ち上がりました。時限的に半ば区営のような形にし、一丸となって対策を進めます。

――4院ではそれぞれテントやプレハブの発熱外来センターの設置が進んでいます。

「区が出すなら出さない」は理解できない

田中 感染の疑いがある人が一般の診療所を受診すると、移るかもしれないという声が上がっているので外来を集約します。4院のスタッフだけでなく、開業医にも詰めてもらいます。

 既に40人ほどが手を挙げています。感染の危険性があるのに、自分の診療所を休診にして来てくれるのです。数をこなすため、手慣れた医師にはかなりの日数詰めてもらうことになりそうです。都はこうした場合の日当として、開業医に1日当たり約3万円を補助していますが、これだけでは診療所の人件費や家賃は払えません。そこで区は1日当たり約16万円を上乗せすることにしました。

 ところが、都は「区が出すなら出さない」と言い出しました。医師に心置きなくウイルスと闘ってもらうためなのに、私は都の対応を理解できませんでした。そこで知恵を絞りました。都には補助を出させるべきだと考えたので、区は「休診協力金」という別名目で開業医に支出することにしました。

――感染者はさらに増加すると見られていますが、区職員もこれからはウイルスに触れる現場に出るのですか。

田中 そうなると思います。このため、せめてもの手当てとして1日4000円を超えない範囲で支給することにしました。今後は景気の悪化が見込まれ、23区でも税収減が予想されていますが、今やるべきことをきっちりやらないと、ウイルスとの闘いには勝てません。