維新の会の実績―フェイク(2)教育費無償化「実績」の実態

橋下徹さんは、ことあるごとに私立高校教育費無償化を実現したと誇ります。

これも小生は、ほーそれは他の政党では実現できなかった、福祉にも眼が届いているのだと感心したものです。

しかしこれある市会議員に内実を聴いてガックリしました。二つガックリしたが、一つは詐欺的手法だろうというもの、もう一つはやはり新自由主義政党の本性を出した政策だな、というものです。

しかし断片的にこういう話に接すると、閉塞感から改革を志向する市民は維新を支持するわけで、「改革マジック」にからめとられ、「改革」と言葉を聞いただけで思考停止して維新を信じてしまう。維新の勢いとは、こうした善意の府市民に支えられているのです。注意が必要です。現状の変革ではなく、生活保守の延長としての未来を望むひとたち!

 

一つ目。2006年「教育バウチャー(クーポン)」が、安倍政権で論議された政策で、教育費の補助や塾代の割引券などがあります。

大阪府での私立高校の授業料の無償化政策とは、従来の学校法人(団体補助)を生徒個人(個人補償)に切り替えただけで、教育予算を増額したものではありません。つまり付け替えの仕方を変更したにすぎません。

 これは、府の定員割れが3年続くと廃校にするという公立高校縮小の政策に連動し、私立高校へ生徒を誘導する動因として働くため、個人補助の方が維新の会にとっては利用価値があるわけです。公立学校を減らし、教員を減らし節税をするといういかにも「改革風」な、文化や学術を嫌う橋下徹さんの政策です。公共的なるものの縮減を狂ったように実施してきた維新の会の政策の一環なのです。そりゃあ私立へ行く生徒の家庭には、直接目の前に補助金を握らされるわけだから、喜びます。しかし予算が拡大されたというわけではありません。公立高校の先生を削ったお金がまわっているにすぎません。

 ここに新たな問題が発生します。

詳しくは述べませんが、小生は一学級の少人数制にして、教員を増やす方が生徒のきめ細かな教育にはいいように思います。また公立を増やせば高い私立へ行く必要はななくなります。しかも経済効果はソフト産業へ移行しており、市中の消費(GDP)を上げるためにも、教員を増やし市中の個人所得を上げていきながら消費を活性化させる必要があるからです。ちなみにコロナ禍でみんなが気づいたはずですが、福祉、防疫公衆衛生、医療などの分野の公的な人員増加も同様になされる必要があります。しかし、これでは私企業である教育業界から維新の会に献金は入らないし、恩恵を受けたという生徒がありがたがることもないでしょう。巡り巡って維新の会支持者を増やす仕掛けとなっているのです。政治も税も集金マシーンと化した維新の会の都合によってある意味「私物化」されているのです。

 なお、中学生には、一人月額1万円を塾代補助金(所得制限あり)が支給されています。これはマスコミも賞賛しました。しかし、これも「悪いことではない」と思わせる点で生活保守派(現状肯定)にはよくても、思考停止が見られます。

塾の経営者にすれば、低所得層の塾へ行けない子供をかき集められる、すると維新の会への塾業界の献金と支持が増えます。ここでも学校から子供の教育を塾任せに推進する公共性の撤退が図られています。低所得者の子供を塾に追い立てることではなく、学校教育でしっかり包摂し、ただの点数だけが全てだ、点数を上げるのが教育だという子供を追い詰めていく今の教育を変えていくグランドデザインが必要なはずです。点数が人間尺度のすべてではないという考えをもった大人を育成するためにも。それには教員を増やし、教員の加重労務を削減し、教員が一人一人の子供を包摂する体制が必要でしょう。政治と教育があまりにも「思考短絡かつ密着」になっている点で危惧します。

 また親にとっても、子供の教育は自己責任だという新自由主義的前提を否定し、社会と学校と地域が子供を育てるーそのための全方位での教育投資が必要ではないでしょうか。