気力を振り絞って⋯、無名の者の矜持。

ある知人が、最近ブログをしばしば訪問するが、書かれていませんねと感想を寄せてくれた。
嬉しい。私のような無名な者の書き物をわざわざ読もうという奇特な方がいるのだ。
そういえば、いつもいいねマークをつけてくれる「かんがえる」さんもありがたい存在だ。
一人でも読者がいるなら書き続けねばなるまい。
ということで、フェースブックからの転載であるが、些末な近況を書いてみました。
 
日々脚のしびれと、背筋の痛みに耐えながら、何とか病状に慣れてきたというべきか、そんなことに構っていられない、というべきか、やらなければならないことが突き付けられる。
気力を振り絞って対応すね日々だ。
今井照容氏から『出版人・広告人』4月号をご恵送いただいた。
相変わらず、巻頭の「誌人便り」はいい。
この人の情念が滴るような密度の濃い、それでいて簡潔にして切れのある文体に魅せられる。
いつもこの巻頭を楽しみに読ませていただいている。
今号は、著者の周辺の人物模様と来歴であるので、他人にはわかりにくいのだが、しかし、関係の織りなした時代に刻印したもの、あるいは渋い友情を強く印象付けながら、男の哀切にまで昇華させている。
見事な短文である。
私には到底書けない。
さて、できるだけ座姿勢をさけ、ベッドでゴロゴロしていると、気力がどんどん失せていく毎日である。
しかしフェイスブツクの友人たちが、これほど沢山励ましをくれたことを思い起こすと、新しいことは別にして、過去の整理だけはキチットしたいと思うようになる。
本も大分捨てた。
その中で、柘植義春の『夏の思い出』が出てきて、捨てきれなかった。
再読すると、忘れていた作品ばかりで、夢中で、じっくりひと枠ずつ味わう。
難解なねじ式などの前のやさしい作品ばかりだが、実に昭和の貧しい時代の私小説的漫画で共感する。
特に、柘植は女の描き方、肉体の線のエロティシズムは天下一品である。
日本人の平均的な女の肉体がもつ、リアルなふくよかさは、今風なスタイリッシュで欲情を喚起しない肉体の線ではない。
思わず勃起させられてしまう。
柘植義春はやはりいい。