『情況』タイトルと朝日新聞の見出しのヘイトを糾弾する--「Don’t trust over 40 40歳以上を信じるな」

60年代後半から70年代にかけて、最も良質で原理的な思想雑誌であった『情況』が、どうもよく分からない見出しをつけているようだ。
 
「Don’t trust over 40 40歳以上を信じるな」
 
刺激的見出しで売らんかなということなのだろうが、一目でいやな感じというところだ。
画家で批評家の内海信彦氏が、早速原理原則論から批判して、自分がしばしば寄稿する雑誌なので、編集部に噛みついている。
私も、内海氏と全く同じ考えで、これはこの20年間、ビジネス右翼が儲ける事なら何でもやるというヘイト本の編集思想と同根だろうと思うのだ。
かなり根の深い、思想的社会学的問題なのだと思っている。
小熊英二朝日新聞エリート主義が、SEALSを持ち上げ体制内改革へ若者を誘導したわけだが、社会運動の根源は大衆の怒りや違和感であって、ときにそれは暴力的であったり、犯罪的であったりするのは洋の東西を問わず常識ではないか。
半世紀前の若者の革命的世界運動にコンプレックスを持つ小熊や朝日のキワモノリベラルは、それらと切断することで、自分たちの影響力に自己満足させようとする小汚い根性がミエミエだからである。
小熊は慶応大教授で偉そうなことをいいながら、学生の貧困やコロナ禍対策に何をとりくんだというのだ。
朝日は、れいわ新選組山本太郎らの議会至上主義を批判した社会運動を自民党ほどに報道したのか。
 
『情況』のタイトルには、ブルータスよおまえまでもか!という本質的問題がつまっているとみるのが、まともな「リベラル左派」というものだ。
 
以下内海信彦氏のFacebookから転載させていただく。(2021.8.6)
『情況』届いたので直ぐに読みました。高井ホアンさんや田中駿介さん、近藤伸郎さんなどの若い友人をはじめ、若い高校生や大学生たちの変革への心ざしには全く共感共鳴し連帯したいと思います。そうであるからこそ、『情況』編集者の「Don’t trust over 40 40歳以上を信じるな」という許し難いヘイトの撤回と謝罪を編集者に要求しなければならないと思います。そうでないと、私が昨日も今日もオンラインで対話している高校生たちに『情況』を読むことが躊躇されてしまい、無念でなりません。
 東京コロナオリンピックを批判するならば、“Don’t trust over 40 ”と平然とヘイトをデザインした表紙デザイナーに責任を押し付けることはできないでしょう。関係者から何も反応がありませんが、過ちを隠蔽したり、マイノリティからの批判をスルーして時の経過とともに無かったことにするのは、権力の手口と同じことになります。早急に謝罪を求めたいと思います。
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【沖縄の戦争体験者をはじめ戦争体験者は70歳代以上です。私も戦争犠牲者遺族です。40歳以上の被差別者・被抑圧者・マイノリティ・被抑圧民族・貧困層に面と向かってDon’t trust over 40 40歳以上を信じるな」と言いますか?】
 なんですか、この朝日新聞の見出しは。「40歳以上を信じるな」というヘイトスピーチのどこが「世代を超えた交流」なんですか。大下敦史『情況』前編集長がお元気でしたら、この「Don’t trust over 40 40歳以上を信じるな」などという『情況』紹介記事にあるとんでもない見出しが、座談会参加者や執筆者の意図を踏み躙るヘイトスピーチだとして厳しく一喝されたことでしょう。
 階級社会や身分社会を超越して世代間の対立に階級矛盾や社会的差別構造を転化させる「40歳以上を信じるな」という記事タイトルを『情況』の編集者が付けているのは恐るべき過ちです。安倍晋三菅義偉竹中平蔵麻生太郎経団連などの資本家が40歳以上だというのでしょうが、支配層を年齢で捉える思想性のかけらもない短慮です。40歳以上の被差別者・被抑圧者・マイノリティ・被抑圧民族・貧困層に面と向かってDon’t trust over 40 40歳以上を信じるな」と罵声を浴びせる無神経が許せません。
 本を読んでまた書きます。しかし朝日新聞が書いたこの記事は、百万単位で読まれるでしょう。『情況』を読まない百万単位の人たちの中に、「40歳以上を信じるな」というヘイトだけがひとり歩きして伝染する可能性は少なくないでしょう。
  「40歳以上を信じるな」 というヘイトは、1960年代後半から70年代の学生反乱に敵意を露わにして、国会前で警察に協力してまで半安倍を増長させ、企業奴隷を養成する大学の日常を不問に付し、世代間の対立に反安倍のエネルギーを転化させたSEALDsが犯した致命的な過ちを繰り返しています。
 これは朝日新聞記者による、高校生を騙るヘイトへの誘引です。闘う大学生への誤った煽動です。高校生と大学生の皆さん、どうか過去から学び、こうした一部の煽動者によるヘイトクライムに騙されないでください。
 資本家や管理職、大学当局や高校当局への反発と批判精神を、「40歳以上を信じるな」と大人たち一般に逸脱させて、高校生や大学生に何か新しい思考だと錯誤させるのは、高校生や大学生を愚弄しています。もっとも、賢明な高校生や大学生ならば、一読すれば、このヘイトクライムを見破り、厳しく糾明することでしょう。
 「40歳以上を信じるな」、これはナチがヒットラーユーゲントを煽動した手口に連なり、既存体制批判と権威主義批判を装い、若者を巧みに操作したナチに共通するヘイトです。ポルポトがオンカーを育てて反知性主義を煽動し、ロンノルと闘った中高年層を抹殺したやり口と同じではありませんか。ポルポトが規範とした中国プロ文革で、走資派からの奪権と称して紅衛兵を組織し、大量虐殺を煽動したやり口と、「40歳以上を信じるな」というヘイトは繋がっています。
 このヘイトクライムで、れいわの大西つねきが、高齢者抹殺を公然と言い放ち、ナチ同様の安楽死殺人を煽ったことを想起しました。「40歳以上を信じるな」という支配と被支配の対立を、世代間の対立に転化させるヘイトクライムに、一部の若い友人たちが加わったのなら、とても衝撃的な事態です。
 『情況』の連載をさせていただき、その後もお願いをしていながら返信もないままでした。私は編集者でしたから、はっきりと言います。編集者あるいは編集担当が「40歳以上を信じるな」とタイトルを付けたのは、編集者として問題です。高校生か大学生が、そんな短慮をしたというのでしょうか。
 本は買って読みます。座談会も読みます。座談会に参加した高校生や大学生、そして執筆者が、世代間差別を煽るヘイトとは無関係であるばかりか、心ないタイトルを付けられたことで、どれほど心外であるかがわかります。『情況』編集者は速やかに過ちを認め、40歳以上の被差別者・被抑圧者・マイノリティ・被抑圧民族・貧困層自己批判しなければ取り返しのつかないことになるでしょう。
 「40歳以上を信じるな」とヘイトクライムを追認し、全国的に拡散させた朝日新聞に、責任を負わせなければなりません。
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『40歳以上を信じるな、「もの言う」若者特集 
「情況」夏号
 題して「DON’T TRUST OVER 40 青年たちは糾弾する」。7月発売の「情況(じょうきょう)」夏号(情況出版、税込み1500円)が「もの言う」高校生や大学生などの声を特集している。
 「情況」は、半世紀以上まえに大学改革を求めて行動した全共闘世代や、その活動に影響を受けた論者が数多く寄稿する雑誌だが、今号では「40歳以上を信じるな」と掲げ、親子以上の年齢差がある現役の生徒や学生、ユーチューバーなどの活動に希望を託した形だ。
 温室効果ガス削減を。東京五輪中止を。外国人の人権を守れ。制服着用義務化はおかしい。性暴力の根絶を――。学生運動の歴史に詳しい教育ジャーナリストの小林哲夫さんは同特集で今年耳にした高校生の声を紹介し、学生運動が下火になった1980年代以降、もの言う高校生は「圧倒的少数派だった」が、2011年の原発事故以降、「風向きが変わった」という。
 小林さんが司会を務める都立高校の生徒ら5人の座談会では、外国人の人権侵害や気候変動といった社会問題と、校則や大学入試といった身近で切実な問題が地続きで語られる。同級生や教員、保護者との関係やSNSの使い方などを模索する様子とともに、主権者教育のためにも学校で政治を語る必要がある、という学ぶ側の声も伝える。
 批評家の藤田直哉さんは同特集の寄稿で、ネット発のAdo「うっせぇわ」のヒットを例に、若い世代には「一生懸命、体制に順応している真面目な人間のようで、しかしどこかよく分からない不満が蓄積している」と分析し、現代社会の「持続可能性」や「多様性」とは何かを考え抜こうとエールを送る。世代を超えた交流に希望がほの見える誌面になっている。(大内悟史)』
朝日新聞8月4日 夕刊より
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 出典:高校生が世界を変える!「高校闘争から半世紀ー私たちは何を残したのか、未来への継承」集会実行委員会 : 『情況』届いたので直ぐに読みました | Facebook