俳句:「顔」−『六曜』NO.16(2009,9,10)

     顔

         至高

初夏の視線の先の紅い爪

緑陰やマスクちらほら対策本部

われらまた豚に等しき夏インフルエンザ

閃光がミサイルとなり青薄

白黒黄の肌色とあり星条旗

背景の顔の翳りを螢曳き

影までの距離を保てり立葵

空蝉となり山河に砕け散る

自らを結び目となし蛇は死す

胎内へ泳ぐ寂しさ稲光

炎昼の群なす淫ら女学生

命より臓器が大事羽抜鳥

死線辺りの臓器を漁り不如帰

夏蝶の世俗にまみれしこと遙か