2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

■生野毅氏、「カルメン」で遊ぶ。

豈同人の生野氏が来神。神戸芸術センターの第2回芸術センター記念絵画公募展。詩人の支倉隆子さんのご主人で、画家の川瀬裕之氏が入選したものを取材にこられたとのこと。同行して一緒に鑑賞。実にすばらしい、紋切り型の賛辞になるが、川瀬氏の入選作品二…

■評論−「攝津幸彦とその時代」

攝津幸彦の俳句を読むと、決まって翳りのないどこまでも続く透明な街路に佇される。措定される語句の重たさが、定型の韻律を抜けていく時、一句は軽妙な明るさとノスタルジーを帯びてくる。 彼の年譜を辿るとき、同時代とはいえその青春期の経歴の近似に驚か…

■評論−『書くことの「リアルさ」をめぐって』

かつて痛切に言葉が欲しいと思ったことがあった。 1970年前後、全共闘運動が最高潮に達しつつも、一方で解体に向かう兆しが見え初めていた時期だったように記憶している。つまり普通の学生が主体的に組織していた運動が行き詰まり、マルク主義諸党派の政…

■俳句作品2007年〜2008年抜粋

*1 三日 木枯の夜にあらわれ旧い友 冬薔薇の絵とその冬薔薇をもつ少女よ ひとを釣る冬空の蒙き穴より 海をきて陸に棲みつく十二月 死後の景観える冬日の観覧車 寒月光新聞にきて騒めける 打ち水の凍る花街まだ来ない 参商(しんしょう)の真ン中にある鏡餅 こ…

■俳句作品2006年〜2007年抜粋

*1 月光抄 蚊柱の上へ上へと六本木 遠雷にゆっくり脚を開きけり 戦前のその水際の夏帽子 敗戦日沖に鴎がヨーォ… 明日よりの逆光にあり燕子花 差異として西日の中の脳の皺 月光を容れて恥骨の高くあり 月光は粒子か陰のひかりだし 月光に胎児の透けるガラス瓶…

■俳句作品2005年〜2006年抜粋

*1 死者を喚ぶ六十年後の夏野原 死者の影夏野を覆うわれらをも 青蔦の傾れる方へ皆傾ぎ 頭蓋骨いずこに積むも蝉時雨 夏草の下に屍と不発弾 縁を打つ水の暗さや敗戦日 ゆく雲のいずれも遠き夏の事件(こと) おおかたはうたかたのゆめ未草 以上『六曜』No2…