死者を喚ぶ六十年後の夏野原
死者の影夏野を覆うわれらをも
青蔦の傾れる方へ皆傾ぎ
頭蓋骨いずこに積むも蝉時雨
夏草の下に屍と不発弾
縁を打つ水の暗さや敗戦日
ゆく雲のいずれも遠き夏の事件(こと)
おおかたはうたかたのゆめ未草
以上『六曜』No2,2005年12月
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六林男忌や光芒長き尾を曳いて
六林男忌や『王国』いまも騒がしき
『悪霊』の自由な形六林男の忌
家を売る月下に残す鍵の音
岬まで戦後を語る星月夜
寒鴉視野の端よりがぎぐげご
領海という幻想を鯨くる
以上『六曜』No3,2006年4月
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グアム島旅記
ハイビスカス夜の虚ろなハイヒール
軍港に犯されている珊瑚礁
下萌えのいずれも覇者の顕彰碑
断崖に続いていたる鱶の海
提督の名をもつ丘の青き踏む
南風眠る兵らの子守唄
<グアム島戦史(関西甲飛十三期会公認HPより要約)>
昭和十九年七月二一日午後四時三十分過ぎ米軍三十万
が奪還上陸作戦を敢行。日本軍は、第二九師団と独立混
成第四九旅団を主力とする兵二万で応戦。日本軍はニ五
日深夜総攻撃にて玉砕。戦死者一万六千人。日本軍の投
降は昭和二○年敗戦日の翌月九月一五日。
以上『六曜』No4,2006年8月
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