民主党事業仕分け−UR(都市再生機構)問題の倒錯

高齢者向け除き民営化=UR賃貸住宅事業で−廃止は1事業のみ・独法仕分け2日目http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1190110&media_id=4

事業仕分けそのものは、支持するし政権交代のあきらかな成果として歓迎している。
このURの根深い官僚経営の悪質さもよく指摘したと拍手をおくる。

しかしこの賃貸住宅問題の結論部分には疑問、というより不満である。

独立法人化してからURは明らかに値上がりしている。

健替により高層化をはかり、個数を増やすことで家賃の値上げをして利益を上げる方針であるが、事業仕分けで指摘されているように、管理会社側に利益をプールしては、天下り確保、杜撰な業務をくりかえしている。

また健替そのものが、相変わらずエレベータなしの五階建てなどがあって、ユーザーのことをどこまで考えているのか首をかしげる

ただ、入居時の一時金の敷金や礼金が不要のため、勤労者への供給という主旨はかろうじて残されている。

しかし、年金暮らしの老人世帯は、建替で家賃の値上がりによって、再入居できなくなっている。

おそらく現状の家賃でも、年金生活者は所得の半分近くを家賃にとられているはずで、決してURが安いとは言えない。

’81年に、公団と供給公社が合併して今のURの前身ができたが、ジャパンアズナンバーワンといわれ、まさにバブルへ向かって「戸数よりクオリティ確保」という時代にできた政策理念は過去のもので、今は再び勤労者のライフラインとなった。

これにどう配慮するのか?具体的には説明されていないが、建替たとしても、今建築費は過去と比較しても安くできているはずで、土地は償却は終っているはずでタダのはずだ。

建替物件でも民間より大幅に安価な家賃で提供できるはずだ。

事業仕分けの判定は、老人世帯向けの低家賃住宅だけ残して、後は民間へ売り飛ばすというもっともらしい方向をだしているが、それはおかしい。

郵政民営化と同じく、さんざ税金をつぎ込んで国民の資産であるはずの勤労者のインフラともいえる不動産資産を、いとも簡単に民営化と称して売りと飛ばすのは間違いだろう?

そうではなくて、やるべきことは、税金で得た国民の資産を厳しい経営感覚で経営し、全物件について民間より安価に提供することではないのか?

民間から経営陣を迎え入れて、経営の建て直しをすることではないのか。

民間に売り払って、年収の下がったサラリーマンがメリットを感じる家賃設定が可能なのだろうか?

恐らく敷金礼金が新たに設定されて、一等地にある立地のよさから高めの家賃設定で、買収企業だけが一挙に高収益物件に転換させて利益を得るのがオチだろう。

サラリーマンでも、大企業の一部のもともとどこでも借りることが可能な高所得者層だけが享受できるものに変質してしまうだろう。

したがってこれは民営化ではなくて、理路として合理的な経営化が正解のはずである。

ワタリは、郵政民営化を阻止した保守派亀井大臣の保守思想は捨てがたいものだと評価したが、それと同様国民の税金で作り上げた資産を、安易に投売りする思想は、新自由主義で沢山である。

民主党の前原、仙石、枝野などの新自由主義派は、事業仕分けという一番安易な道で得意になってはいけない。

役人の天下りや業務の無駄排除と、国民の資産をドサクサにまぎれて売り飛ばして、利権企業をつくっていくこととは違うことだと知るべきだ。

そこが区別つかずに事業仕分けをするなら、小泉構造改革となんら変わらないのである。

赤字法人に税金をつぎ込む、そしてBSのもっともらしい形を創ったら二束三文で外資に売り飛ばす。

裏で動くのは送り込まれる民営化テクノクラートの年収一人一億円という高収入と、落札企業からの高額なリベートバックである。

関空も伊丹と経営統合の上、赤字の間は税金を投入しながら再建し、将来は民間に売却と発表されたが、それだけが方法なのか?

智恵をもっと絞ってもらいたいと思う。