また朝日新聞は検察に情報提供して恩を売った。
朝日のスクープ当日、即日ほぼ同時に前田を速攻逮捕。ありえない。最高検自体では検証せず朝日の情報提供に乗っかったことが窺える。
そのうち朝日はリークのスクープ貰うだろう。みものだ。
懲りない面々だ。
異常なのは、検事もマスコミも評論家も、検察の威信が揺らぐとか言ってるが、この威信という意識が前田を犯行に追い込んだことがわからないらしい。
威信も権威もそんなものはどうでもいいことだ、真実のみが明かされれば検事の仕事はそれ以上でも以下でもない、という透徹した職業倫理に徹していれば、描いた構図がくずれたらすぐ被告人の人権にたち戻る意識が働くものを。
彼らは、エリート中のエリート、他から何のチェックも受けないから権威や威信をもちたがる。そんなものはどのような組織にも不要なのだ。それが組織を硬直化し組織員の発想をおかしくしていく。
これは民間企業でも同じ。
さて、最高検が徹底調査するといってるが、そんなことはできないだろう。
最高検自体の組織犯罪だということは余程のバカでない限り解っているのだから、上に責任が及ばないように責任範囲を絞り込みたくてしょうがないということにつきる。
要するに企業でも前田のタイプはいるのだが、過剰適応型だ。
上の意向や組織目的を過剰に意識化して、無理に無理を重ねる。
だからみんな前田のことを優秀な検事だったという理由はそこにある。
几帳面で気の弱いタイブに多い。意向に沿わないものには居丈高になったり、怒鳴ったりして攻撃的になる。みな共通した人格が出てくる。
従ってこの事件の発端が組織体質から出たことは推測できるし、なぜ組織的にここまで無理をしなければならなかったかも解る。
内部では公判が持たないと公言していた検事がいるということは、はるか前に前田の無理を察知していたはずだ。(本日新聞は報じている)
しかしそれが止まらない。だいたいそういう場合は企業でもかなり上から、あるいはある派閥から、大目標が非公式でありながらいかにも全体の組織目標を装って出てくる場合がある。下の方には出所はわからずあくまで正規の指揮系統での業務目標が装われている。
2008年10月 前田雄吉衆院議員離党選挙不出馬
(小沢派一新会事務局長)
2009年3月 西松建設虚偽記載事件(小沢一郎)
大久保秘書逮捕・石川智裕秘書逮捕
2009年6月 凛の会事件村木厚子逮捕(民主党小沢派武闘派石井一)
政権交代が巷間噂されるようににりつつある時代。
前田議員は特捜名古屋。経産省から業務停止のマルチ業者から献金発覚。予定の衆院選不出馬と民主党離党。
朝日のスクープで国会問題となる。特捜名古屋のリークと推測される。
西松事件の秘書は特捜東京。
凛の会事件=村木厚子は大阪特捜。
この時期小沢は何を主張していたか?
官僚から政治主導へ。
事務次官会議廃止。
司法改革。
裁判員制度は日本に馴染まないと反対
取調可視化
検事総長は弁護士からも出せるようにする
見事に同時期東京大阪名古屋が系統的に特捜が動いている。
こうした検察自体の大きな民主党政権潰し、小沢潰し、が検察と官僚全体の利害となっていた。
ある財界人を介して平野貞夫氏にもたらされた、自民党森英介法相の内々の指示があったという話もこれらによって状況的に信憑性が裏付けられる。
従って石井議員を挙げるためには、なんとしてでも前田の見立てをでっち上げなければならなかった。
東京と違って大阪は企業も役所も少ないため、この凛の会事件が入ってきたときは、大阪特捜は現役大物議員と高級現役官僚を挙げられると幹部が興奮気味だったという事実も漏れてきている。
その時点で、もうこれは手柄の一つとしてカウントされ、何が何でも起訴有罪にしなければならないとう、大阪高検全体の雰囲気を前田が背負ったということだろう。
そういう組織ぐるみの目的とそれを善とする空気が前田を後押ししたといえるはずだ。
大阪特捜部の下っ端検事2、3人の尻尾切りをして納めたいのが、最高検幹部の組織と威信を守る筋書きだろう。
なにしろ筋書きの上手い連中だから。
マスコミはこれぐらいのことは既に感ずいているのだが、一連の小沢関連事件では冤罪の可能性を一切触れない。
前田が大久保秘書取調の応援に東京特捜部に入り、村木さんと同様な筋書きへの恐喝的誘導をしたことは明らかだ。
これだけ「推定有罪」を書き立ててきたら今更いえないだろうが、マスコミに検察批判などできるのか。堀田力元検事がありえないを連発していたが、公文書の公開などで今明らかになってきたのは、堀田自身のロッキード事件の取調過程がまさに「ありえない」ものだったことが検証され始めているではないか。
堀田は大阪特捜部で育ち、ロッキード事件の指揮で「正義と良心」の象徴となった。
この先輩ありて前田ありだ。
いずれにしても、検察を監視するものがいない、便宜起訴主義、起訴裁量権、権威主義、これらが問題であることはハッキリした。
しかし柳田新法相のマヌケの切実感のないコメントは、取調可視化法案などそ知らぬふりをして、官僚に恩をうって政権延命だけをはかるのではないか。
なお、村木さんは辛い思いをされたと思うし同情するが、このひとが障害者自立支援法を自民党の意向で取りまとめた張本人だということは知っておこう。
今この制度で、障害者がどけだけ不利益をこうむり、名前と逆に自立妨げ法になってしまっているか、村木さんは厚労省に戻ったらよく検証してほしい。
障害者支援の現場からは、なぜ妨害制度に堕落したかの理由は、本人負担一割が先にありきで、その正当性をはじき出すための算定根拠が厚労省によってでっち上げられているからだといわれる。
すなわち自立支援施設利用率の実体は60%程度なのに、厚労省は90%以上で計算している。その結果通所障害者給与と本人通所負担金の逆ザヤが発生し、給与が月1万円と安い重度障害者は殆ど働けなくなって家に引きこもったとのことだ。
道路や箱物の予算取りのときと同様の利用率水増しのデッチアゲがあるというのだ。
加害者も被害者も、官僚の性のような話でうんざりする。
この事件で、村木さんは官僚を離れて一個の人間としての痛みがわかる人に成長したと思いたい。
村木さんもまた前田と同様、生真面目で福祉行政のエースと言われた人だ。
前田と違う方向で、是非期待したい。早く職場復帰をされることを願っている。
なお昨日の段階でさらに具体的経過が明らかになってきたので参考資料を挙げておきます。
「FDに時限爆弾を仕掛けた」前田容疑者
http://www.asahi.com/national/update/0922/OSK201009220173.html
「FD改竄高検も認識、地検に調査指示せず」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100922-OYT1T01173.htm?from=top