九州人の地震被災を奇貨として、「緊急事態法」に利用する安倍官邸−亡国の魑魅魍魎

早くもとんでもない情報が飛び交っている。
油断も隙もあったものではない。

官邸が25000人自衛隊派兵と発表したとき、菅官房長官の顔がかすかに誇らしげに見えたの筆者だけではなかったようだ。
心ある人は、その裏に張られた国家主義強化への意思を感じ取った。

最初筆者は、そうだ兵力投入は小出しが最も下手な作戦、一気に投入すべきであり、歓迎もした。それ自体は適切な判断ではある。
以下、とりあえず筆者が見抜いていた通りの報告が上がってきているので掲出しておく。
今後のなかで、随時書き足していくことにする。

「安倍官邸が熊本地震の後最初の支援要請を拒否、菅官房長官は震災を「改憲」に政治利用する発言」(「LITELA」,2016,4,16)

1回目の地震の翌日夜、菅官房長官が記者会見で、熊本地震を引き合いに出して、憲法の新設項目として非常時の首相権限を強化できる「緊急事態条項」の必要性を主張した。

 記者から「予想もしなかった大きな地震が発生した。早急な緊急事態条項の必要性をお考えか」と水を向けられると、菅長官は「今回のような大規模災害が発生したような緊急時において、国民の安全を守るために、国家、そして国民みずからがどのような役割を果たすべきかを憲法にどのように位置付けていくかということについては、極めて、大切な課題であると思っている」と述べたのだ。

 改めて言うまでもないが、災害時の政府対応は、災害対策基本法が定める首相の「災害緊急事態の布告」でもって主導的に行うことが十分可能で、事実、東日本大震災の被災地に、政府の災害対応についての法改正が必要かどうかをアンケートしたところ、ほとんどの自治体が「必要がない」という回答を寄せている。
 菅官房長官の発言は明らかに「話のすり替え」であり、今回の地震を政治利用しようとしたとしか思えないものだ。

「しかも、このやりとりは、シナリオがあったとしか思えないようなスムースなものだった。おそらく、菅官房長官とべったりの安倍応援団メディアの記者と事前にすり合わせをして、質問させたんでしょうね」(前出・全国紙政治部記者)

 さらに、今日16日午後になって、今度は中谷元防衛相が「米軍の支援受け入れ検討」を表明し、防衛省自衛隊にも検討を命じたが、これも、露骨な政治利用らしい。

 というのも、この米軍の支援については、今日午前の会見で、菅官房長官が「動員を拡大し、現地で活動することができるようになり始めているので、自衛隊で対応できる」と否定していた。それが、一転、受け入れに動いたのは、安倍首相周辺が強く「受け入れろ」と言ってきたからだという。

「安倍さんの周辺は、世論誘導のチャンスと考えたようです。米軍が救援に協力する映像を流させ、イメージアップし、集団的自衛権行使や米軍基地辺野古移転問題で国民の支持をとりつける。現実には、時間が経った後に、言葉や地理に不案内な米軍がきても、現場が混乱するだけで、自衛隊内部でも反対意見が根強いんですが……」(防衛省担当記者)

 この期に及んでも、頭の中は、国民不在の“謀略政治”。安倍政権にはせめてこういう非常事態の時くらいはくだらないことに頭を使うのはやめて、国民の生命、安全確保だけを考えることを強く望みたい。それこそ、「事は一刻を争う」のだ。
高橋憲一郎)

さらに、米軍支援を当初は必要ないと述べていた安倍総理は、17日にはもう一体となって支援すると変転している。
これも、日米軍事作戦のもつけの訓練の機会だと捉えなおしたとしか思えない。

安倍晋三首相は17日、熊本地震を受けた米軍支援について「米軍から航空機による輸送支援が実施可能とありがたい申し出があった。速やかに具体的な移送ニーズを調整し、整い次第、直ちに実施したい」と述べ、米軍支援を受け入れる方針を表明した。「今後ともできることはすべてやるとの決意で政府一丸となって対応していきたい」と強調した。
日経新聞,2016,4,17)