今夜のNHK「龍馬伝」は高杉晋作の最後をテーマに放映していた。
少し脚色が過ぎるとは思ったが、志し半ばで逝く晋作の無念さをかもし出していた。
菅総理は長州出身である。菅内閣を自分で例えて、郷土の英雄高杉晋作の創設した奇兵隊に例えた。
司馬遼太郎は高杉晋作を爽やかな軍略の天才として描いている。また封建時代にあって、四民平等の人民軍奇兵隊を作り、新時代に先駆けたとも一般に評価されている。
菅総理は、奇兵隊に新しい時代の創出部隊と組織の四民平等という二つのプラスイメージを体現したものとして、内閣をシンボライズさせたかったのだろう。
しかし、萩博物館特別学芸員の一坂太郎氏の論文「長州奇兵隊は理想の近代組織だったのか」(中央公論10月号)によれば、官総理や巷間流布されてきた晋作と奇兵隊への評価は、政治的イデオロギーに彩られた、噴飯ものだという。
筆者も少なからず司馬史観に影響された世代として、この一坂太郎氏の論評を自戒を込めて記録しておきたい。
そこで、一坂氏の論旨をたどりながら、感想を挟み込んでいきたい。
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