岩内章太郎著「<私>を取り戻す哲学」の実存的苦悩を評価してご紹介

土曜日はわれらが哲学研究会。
岩内章太郎(37歳)さんの『<私>を取り戻す哲学』。
岩内さんは、早稲田大、竹田青嗣さんの弟子筋にあたる、エコールとしては現象学派。本人は、「新デカルト主義」を標榜しています。
今回初めてお目にかかったが若手の面白い人。もちろん本人は真面目で、30過ぎて大学に戻り本を書いた。それまでバイトと紐のような生活で、北海道ー東京の遠距離恋愛だったらしい。私となんやら似ているが、偉いのは、私は女を食わせなければと大学院を辞めて就職したが、彼は大学に戻って本を書いた。よほど内的に抱えた鬱々としたものがあったのだろう。タイトルでは分かりにくいが、現代思想の総括めいたズッシリ重たい思想書である。自分が悩んだ課題がはっきり浮かんでくる。
いわば、ポストモダン世代の批判的乗り越えを図っているといっていいだろう。価値相対主義に厳しい竹田門下のことはある。
 私は、東浩紀が理解できず、その後食わず嫌いのようになっていたが、かれの平易な解説でやっと理解した。ポストモダン派のずるさは、外国思想家の翻訳をいち早くやって、国内普及するまで偉そうに権威ぶれるからだ。日本のアカデミシャンのダメさを象徴しているからだ。
その辺りから、ポストトゥルースー社会構築主義陰謀論、AIなどの過ちをなで斬りにしている。
学生向けに書いているから、哲学に馴染みのない人にも面白いと思う。