哲学の我が師、西研先生より自著の新刊本を拝受した。
この本は、元がNHK出版より出ていたものに加筆されて、更に充実されたものである。
ご本人曰く、人間論、認識論、正義論を解りやすく横断的に書いたつもりですと。
この近代に善しとして形成された原理的思考が、壁に突き当たり、あらゆる分野にきしみをもたらしているなかで、
もう一度、わたたちは何を原理としてこの世界と自分の意味を考えていったらいいのだろうか、と問題はたてられている。
西研先生は、私たち団塊世代より10才下になるのだが、団塊世代の竹田青嗣さんに文芸批評から哲学へ転向させたぐらい影響力の強い方である。
その結果、現在では「西竹田現象学」と呼ばれるほど、世界的に独自の地保を築いている。
一言でいえば、現象学主流派=ハイデッガー流解釈に対して、異論を唱え、世界の哲学者が現象学主流派への批判をしている点をハイデッガー流の誤読としてフッサールの再考を図ってきた。
ですから、私のテーマである言語論なども、このご両人にかかると嘘のように難問が解かれてスッキリ腑に落ちるのである。
今回文庫本になりましたので、ぜひ買い求めてお読みいただくことをお薦めします。
ちみに、読者は高校生から大学生を想定して書かれていますので、門外漢の大人にも楽しく読めると思います。いくつかの高校では読解のテキストにも利用されています。

- 作者: 西研
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/11/03
- メディア: 文庫
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目次の一例、
考えることと悩むことはどう違う
どうすれば共有できる答えを作りだせるか
第一章 神秘・科学・哲学をどう捉えるか
生まれ変わりは証明できるか
客観的な正しい考え方はあるのか
でもやっぱり客観的現実はあるのか
哲学はなにを問題にしてきたのか
なぜ人は「客観的世界の存在」をしんじているのか
第二章 人間の本質をテツガクする。
ウサキ゜の生と人間の生はどうちがうか
タイムスリップの謎はとけるか
「なつかしさ」の本質はなにか
他者と関わる悦びにはどんなものがあるか
現代人の「生」はどのような条件をもっているか
第三章 生きる意味を問う
「自分らしさ」を決定するものはなにか
「善悪」を決める根拠は存在するのか
死をどうやって受け入れればいいか
第四章 自分と社会はどうつながっているか
まっとうな「世界説明」を見分けるコツは
ウサギに訴える権利はあるのか
社会のルールが成り立つ根拠は
社会のわれわれ性とはどういうことか
にぜ「正義」を考える必要があるのか
正義に確かな根拠はあるのか
近代の正義は何を本質とするのか
自由と所有は絶対の正義か
エピローグ どこへ向かって考えるか
以上ざっと目につくものを挙げておきました。
ぜひ周りの人との話のネタ本に、あるいは読書会にご利用してみてください。