生活現場の風-衆院選開始

この一週間ほどの生活現場の風の色を探る。

[情報流出]
まず、アリコジャパンの保険契約者のクレジットカード情報の流失事件。
幸いにして、管理者はカード会社保険営業部との契約なので、カード会社が丁寧に対応してくれている。

2009年5月までのカード支払い申込者が対象で、管理者は7月からの決済なので今のところセーフのようだ。
今頃になって、アリコは流失調査と防止委員会を立ち上げたとのことだが、Pマークとっているだろうに日頃の管理チェックはどうしていたのだろうか?

アリコはただ調査と謝罪の簡単な文面ではなく、業種が業種だけに日頃の管理体制を説明した上で調査中だといわなければコンプライアンスに鈍感な企業だとマイナスイメージが先行してしまうだろう。
あるいは本当に日頃個人情報保護に無頓着だったのだろうか?
これは悪意ある外部犯行であっても、今時それを想定せず簡単にバリアスルーされるようなシステムでは失格ということだ。


[現場のおっちゃんの自公離れ]
某スーパーの現場で取材する機会があった。
深夜のガス工事会社、空調設置会社、警備員、深夜パート、などのおっちゃんおばちゃんである。

選挙の話題をふると、どのグループも口々に自公はもうダメだと騒ぐ。
とにかく麻生さんの人気もないが高齢者が多かったせいか、昔の自民党と変質したことを指摘していた。こういう現場の人達は意外と自民党びいきが多く、結構保守代議士と後援会で繋がっていたりすることを自慢げに吹聴したりしたものだ。実際は遠くから一度演説を聞いたぐらいのものだったりするのだが、自尊心の代償として金持ちでもないのに自民党を得々と擁護したりしていたものだ。所謂地縁血縁の村落共同体崩壊後の擬似共同体として組織化された人々である。


明らかにこの擬似共同体意識に亀裂が入り、自民党の利益再配分力を無くした荒涼たる保守政治を敏感にえぐっているおっちゃんたちの発言である。

さらにあるひとのいいおっちゃん(管理人を息子のように世話をやいてくれる)は、いままで頼まれたら公明党へ入れてきたがもう止めじゃとため息をつくように言った。
このおっちゃんは住まいが西宮だが、さて兵庫八区尼崎の田中VS冬芝対決はどうなるか?


創価学会はいつもどおりえげつない運動を展開するだろう。
えげつないというのは、東京の友人の報告だが、都議選の折もう何十年も会っていなかった田舎の高校時代の学会員の友人が、卒業名簿を片手に東京在住のかつての同窓生を訪ね歩き、公明党に投票をしつこく依頼したというのだ。他府県の学会員が大挙して兵庫八区へなだれ込みこうした気味の悪い熱意に席捲されことだろう。また小さな言葉尻を捕らえては名誉毀損だとか敵対的集団示威行為にふけることだろう。



田中康夫がいい闘いぶりをすることを期待している。ただ残念なことは、この地域は論理的にものを考える人種ではない。なにしろ浜ちゃんや松ちゃんを生んだおもろおかしい地域で、田中の言うことがどれ程受け止めることができるか?直接ダムもないしね。しかし田中の心意気は男だと思う。勝利を期待したい。ただし個人的には田中は不用意に団塊世代をバカにするからすきじゃないけどね。


[読売渡辺恒雄はやはり保守本流だ(ジャーナリスト新聞より)]
新聞各社は日経以外は赤字だった。ただ読売は新聞事業だけでは85億円の黒字らしい。
日テレ株の時価会計方式が126億円の損失計上となり合計では赤字となった。これについてナベツネアメリカかぶれの御用学者らの企業会計基準委員会を不合理だと批判している。全くその通りだ。会社は株主のものなどといいだしたのは竹中平蔵だったか?


それで竹中平蔵市場原理主義に支配されてから格差社会となり社会保障がおろそかになったと、竹中を名指しで批判している。読売は小泉改革支持だつたんじゃなかったのか?少なくとも批判論調ではなかつたように記憶している。勝ち馬に乗れってことなのかー?


ただやはり偉いなと思うのは、社会保障は産業である、と言っているところだ。
小泉政権が小さな政府論から社会保障費を抑制したのは誤りで、それを完備しなければならない。公共投資以上の雇用拡大生産求人効果をもっており、それによって安心社会実現が達成されれば老後不安もなくなってタンス預金が消費に回される効果は大きいとしている。


それから保守本流の面目は、この後に及んでも竹中の弁解を垂れ流し、改革不徹底が貧困を増大させているなどとデマをサポートしている田原総一郎や朝テレとは一味違っている。やはり鎧のしたでアメリカ追従を無言の前提にしている保守もどきではない。


金持ち優遇論を言ってる場合ではない。スウェーデンノルウェーデンマークなど北欧の税高負担高福祉国家を例にだして、「大きな政府」ではなく「中福祉中負担」国家を目指すべきだと言う。まあ消費税率アップの根拠にしてもいるのだが、逆進性の緩和策も必要で生活必需品は低率、食品や新聞は非課税のようだから真似るべきだというのだ。ナベツネからこのような福祉国家構想を聞くとは思わなかった。


極めつけは「無利子非課税国債」を発行せよという提案。
高齢者に偏る高額所得者をターゲットに、相続税非課税の特典と引き換えに何十兆円という余剰金を吐き出してもらい、それを財源にしたらいいと。


日本の一般歳出中の国債は約20兆円、うち10兆円が利払い。1985年と1987年に二回国債費のうち96.6%が利払い費であった。利子のつかない国債は財政上の負担にはらない。先進国を中心に相続税を廃止している国は21ヶ国に及ぶ。これが世界の常識になりつつある。


そして、選挙結果は民主政権ができても財源の裏づけがないため早晩いきずまり、また左派との連立を組まざるをえなくなるから様々な軋轢が出て早期にいきずまるだろうと観測している。
従って上述のような「中負担中福祉国家」政策を実現するために、生産と福祉を同時推進できる中道安定政権をつくらなければならない。


とまあおせっかいなことをいっているが、大筋では現実的で政策可能な提案ではあるだろう。


意外に民主党が政権獲得後に現実主義に豹変しとき、ナヘツネ案は実現するかもしれない。


ただ相続税まるごと非課税は、ただでさえ戦後のエスタブリッシュメント形成が激しく、文化資本格差が問題となっている日本では、容認される論ではないだろう。


大衆層をとらえているナベツネ読売が、論調が米国従属なのか反米なのかよくわからなくなっている朝日のようにブレずに、保守なら真性保守として堕落した自民公明に鞭をふるって欲しいものだ。