大阪メトロ開始、民営化の成功・失敗の基準

昨日は大阪市営地下鉄が民営化され、大阪メトロとなった。
橋下徹知事時代からの「念願」が維新の会としてはかなったことになる。
顧問を務めた高橋洋一自画自賛している。われわれがやってきた民営化は失敗したためしがないと。
竹中平蔵といい、こうした政商と化した学者・官僚崩れが権力と結びつき、ネオリベラルを振りまいてきた。
同日竹中は、フランス企業・オリックスと組んで、浜松市の下水道を民営化し、上水道もわが利権としようとしている(検討着手)。
今後公共事業の民営化は加速するだろう。
水について言えば、ほとんど世界的に民営化は失敗している。それが発覚するのは五、六年を経てからだ。最も有名なのはパリである。値上がりが激しく市民が激しい抗議行動に出て元の市営に戻した。南米諸国でも値上がりで貧困層が水がのめなくなり、米国資本を追放している。
現在深刻なのは、マニラだ。スラム街への水道管を全て閉めて、公園の水でしのいできたスラム街住民は完全に生活水が断たれた。二三年前の事件で、その後どうなったかは知らない。
大阪市は、水道事業の民営化も企画している。都構想実現の暁にはあっという間になされるだろう。
さて、話は鉄道事業に戻す。高橋批判のコメントをいれてあるが返信はない。
JRが民営化し、地区別に分割された結果、儲かる会社と最初から経営が危ぶまれている会社がはっきりしていた。その通りになった。九州だけが健闘していて、収益の7割が鉄道以外の関連事業である。これは成功した。ただし企業としてのみみればである。
利用者側からみたらどうか。
全体に共通しているのは、利用減少路線は廃線が進んだ点だ。
北海道は半減も間近い。
一言でいえば、利用者の選別と貧乏人・若者層の切り捨てである。
例えば大成功しているJR東・東海・西をみればわかる。東京~大阪間は在来線では行き着けなくなり、新幹線でしか選択肢がなくなっている。数年前までは深夜の「ライナーながら」があった。
信州方面も真っ先に「あずさ」はなくなり、昨年「しなの」もなくなり、在来特急は消失つある。これによって新幹線しか選択肢がなくなっている。料金はそれによって1.5倍くらいになっている。
つまり利用者を単一の小金持ちか出張経費で支払い可能な層に絞っているとしか思えない。
金はないが、移動したい、そういうスピードなど二の次でいいという学生・若者・老人・貧乏人は無言に乗るなという排除勧告をしているのが、今のJRの方針といっていい。
専門家の指摘では、フランスの鉄道では、東京~大阪間の距離では3000円くらいで利用できる。もちろん高速鉄道もあるが、若者向けに格安料金も設定されていて、利用者の目的によってニ、三の選択肢が配慮されているという。
JRは13000円しかない。
つまり民営化して成功しようとすれば、九州方式をとるしかない。超高級高料金の車両投入による金持ち相手の旅行客呼び込み、方や全線新幹線化しかないのだ。日常の利用者や、安く旅行したい層は切り捨てるしかない。
こういう民営化の結末を、高橋ら官僚やネオリベは大成功と誇るのだ。
世界では公共事業の民営化は下火だ。周回遅れのネオリベは、官公のみならず政治にもいまだに国粋主義の裏にべったりと張り付いて、国民を奈落の底に落としている。
頭がおかしいとしか思えない。