文芸俳句

■俳句作品2006年〜2007年抜粋

*1 月光抄 蚊柱の上へ上へと六本木 遠雷にゆっくり脚を開きけり 戦前のその水際の夏帽子 敗戦日沖に鴎がヨーォ… 明日よりの逆光にあり燕子花 差異として西日の中の脳の皺 月光を容れて恥骨の高くあり 月光は粒子か陰のひかりだし 月光に胎児の透けるガラス瓶…

■俳句作品2005年〜2006年抜粋

*1 死者を喚ぶ六十年後の夏野原 死者の影夏野を覆うわれらをも 青蔦の傾れる方へ皆傾ぎ 頭蓋骨いずこに積むも蝉時雨 夏草の下に屍と不発弾 縁を打つ水の暗さや敗戦日 ゆく雲のいずれも遠き夏の事件(こと) おおかたはうたかたのゆめ未草 以上『六曜』No2…