俳句作品:至高「緩慢な死」10句

  緩慢な死


母の病む山裾野まで緑なり


夏雲や仰ぎみる日の幸不幸


秋風の睫毛の長短少女病


六道へ影伸びきって破芭蕉

 尖閣諸島の野田政権政府購入−
確執の島に戦端きざし霧


明日の身へ暗く秋燈流れけり


喧噪や官邸前のデモと蝉


緩慢な死のなかにあり破蓮


身の内の駄犬を抱く秋の暮


超克へくる日くる日の枯落葉

(「六曜」NO.29  2012,12,1発行)