至高の『現代俳句年鑑』(現代俳句協会発行)所収作品

現代俳句協会発行の『現代俳句年鑑』所収の拙句をまとめて掲出します。
理由はこの『年鑑』をすべて廃棄処分いたします。
凍星の呟きいずれも百四十字
もうだめか春暁の核炉メルトダウン
喉もとに集まってくる月夜茸
かくまでの安全神話蝉の殻
大寒のくまなく肺に塵・セシウム  (以上13号・平成20年度版)
梟の夢より老いて醒めにけり
緩慢な死のなかにあり破蓮(やれはちす)
身の内の駄犬を抱く秋の暮
恐ろしき空気や水や蛍狩
月光の廃墟となれりあゝ愉快  (以上平成25年度版)
煩悩を夢と紛えり蒼鷹(もろがえり)
愛こそが凶器と狂気冬薔薇
名も地位も紛う方なき春の塵
悪法の通った後の枯木道  (以上平成27度版)
国禁の武器を売りゆく初仕事
シリウスの血流れ砂漠の液状化
百万年鳥獣草木核汚染
梟の飛び立つ闇を愛しめり
反日反韓串刺しにして焚火  (以上平成28)年度版
鍵穴の露けし日々を倦みにけり
穴惑い戦前回帰の軍楽隊
音沙汰の途絶えしよりの隙間風
寒梅を懐に呑む風と雪
北溟の魚のひと跳ね氷解く  (以上平成29年度版)
鍵穴の露けし日々を倦みにけり
音沙汰の途絶しよりの隙間風
宝船兵器兵隊満載し
溶融の炉心その辺に夏痩せす
叛旗なしそれからもなし夕芒  (以上平成30年度版)
幕ノ内癋見(べしみ)の相も緩むかな
冬木影壁に映るを写しけり
蕪と革命ともに塩漬けにせむ
盲亀浮く浮木と別に花筏  (以上平成30年度版)
重複二句省略
埋め立てる海も民意も夕焼ける
遠花火裏の路地より昭和まで
平成を鳴きつくしてや蝉時雨  (令和元年度版)
薄氷(うすらい)の虚空を駆けて無名かな
集まって個々によろめく鶴の声
繋ぎ目のほころびてゆく六林男の忌
足元の古層にとどき花の塵
二十二の横顔さくら色して発車ベル  (令和2年度版)
以上。
 
掲出以前の作品は、現代俳句協会にて蔵書。
なお、数年の停止時期があります、開始時期は失念しましたが20年前くらいかと思います。
 
最近になりまして、作品の問い合わせがしばしばありますが、過去の掲載誌はほとんど廃棄処分しまして、句集にわずかに残るのみです。