橋下知事は無思想なのかペテン師なのか?エアコン切れとプロパガンダ!

原発事故から発した脱原発橋下知事発言は好感をもって支持していた。
特に、関電八木社長の15%電力節電要求を、根拠が不明として拒否し、原発推進のための画策ではないかと激しく批判したわけだ。

一連の原発推進派への批判と脱原発推進の発言は妥当なものであった。
わたしは、初めて橋下知事を支持した。

ところが一昨日あたりから、橋下知事は日中のピーク時の家庭用エアコンの利用自粛を呼び掛け始め、電力使用量のリアルタイムの発表とセットで許容量を越えたら府民全員でエアコンを止めて節電しようと言い出した。

おいおい結局節電をするんかいな、数値目標の設定の仕方が違うだけで、原発マフィアの主張する(原発ぬきでは)電力不足に陥るという恫喝と何もかわらないではないか、がっかりした。

敵を作り、口汚く罵倒して自分の正当性を演出する方法は天性のものなのだろう。八木関電社長とのバトルは、大阪維新の会の下衆な連中を活気付け、府民を喜ばせた。
わたしもはからずも喜んでしまった。

舞台裏は、橋下知事のお仲間の原口議員らと、ソフトバンク孫社長などの代替えエネルギー構想に組しており、橋下知事がリーダーシップをとり関電に節電目標などの声をかけたがそのときは関電が全く反応せず、橋下知事を無視した格好になったようだ。

無視されたと感じた橋下知事は激しい。それが一連の八木社長バトルにつながったと見ていいだろう。

しかし、基本は節電であり、原発なくして電力は不足するから下々は節電し、事業体の電力は確保して生産に影響与えない、という橋下知事の発言は、原発推進派の理屈そっくりである。

昨日のテレ朝の朝の番組でも、今夏の電力不足ということは嘘でどうも電力はまかなえるらしい、検証報道をこれからしていくと発言していたように、多くの国民は既に原発マフィアや政治家の無知とデマゴギーを見抜いている。

橋下知事のけたたましい関電攻撃は、どうも水面下での取引をうかがわせるもので、稚拙な演出が、賢い府民にはミエミエとなってしまった茶番劇といえよう。

なぜ個別の発言ではもっともらしく、同感するのものもありながら、方向性と解決案を仔細にみるといつもガッカリさせられるのは、やはり知事に思想というものが無く、支配的イデオロギーに乗っかり、風向きをみながら自己顕示を引っ張られる資質にあるように思う。

そういう意味で、今の民主党若手と言われる閣僚や幹事長の軽さと無思想性に通じるものがある。

せっかく橋下知事は、脱原発を言い出したのであるから、脱原発の拠って立つ思想を理解して、まともな政策案に纏め上げて欲しい。

節電は無用であり、家庭用電力を節電して産業用電力を優先確保する、そういう思想になじまないのが脱原発なのである。
安易に原発マフィアのプロパンダである電力不足から説き起こす政策は、その時点で既にマフィアの一員であることを知るべきである。

参考までに、広瀬隆氏の「福島原発メルトダウン」を紹介しておく。

日本の電力需要は、2001年の電力需要ピーク以降、火力水力の発電量以内に納まっており、原発が無くても十分間に合っている。

理由は最もクリーンな天然ガス火力発電の稼働率を5割に抑えて原発依存を強めたからにすぎない。原発マフィアは火力水力の稼働整備を放置し、節電だけを叫んでいるということだ。

慶応のエネルギー学者藤田祐幸教授のまとめた「エネルギー・経済統計要覧」のグラフによれば、電力需要は1億7000万キロワットに対して、火力水力供給量は2億3000万キロワット(2007年)。今は更に不景気で需要は減っているはずである。

橋下知事はこうした資料を丹念に踏まえて、根拠が不明という関電批判と同じ矛先が自分に向かっているということを自覚していただきたい。
果実にかすっているだけに、惜しいと思うのである。