フクシマの子ども・妊婦を死に追いやる原発マフィアと政府の殺人(未必の故意)

昨日10月4日のツイッター池田香代子(ドイツ語翻訳家)とかいう中年とおぼしき女性の発言を奇異に思い、問い糾した。
このひとの日頃のリベラル風というか市民主義的というか、マスコミ調の弱者の味方風の発言というか、口当たりのいい発言が多く、いやでも目につくのである。

どちらかというと賛同したいのだがちょっとズレているなという印象がいつも付きまとうような発言が多い。

わたしが看過できないと思った発言はこういうことである。

池田女史にいわせれば、フクシマの子供たちを疎開させるのを政府に要求するのは間違いである。今一所懸命フクシマ県内で育児をしているお母さん方に失礼だ。実際涙を流して残念がっていたひともいた。
個人個人の事情があるから、自由な選択に任せるべきである、というものであった。

この一件自由主義風の考えは立ち止まって考えてみないとスルーしてしまうくらい口当たりがいい。
しかし少し福島県庁と政府の方針や、年間安全基準量に問題を孕んでいるという知識があれば、もっともらしい池田女史の考えは本末転倒していることに気づくはずである。

どうみても今のフクシマの放射能汚染度合いは子供や妊婦には安全といいきれない。あるいはそう疑義をもって、もっと汚染度合いの低い環境に避難したいと願っている親と子供がいる。そうした願いの人達の政府への要請を、自由を盾に切り捨てるのはおかしくないか。

早い話が、池田女史の意見は、汚染の危険地域であっても住みたい人は住まわせておけばいい、一生懸命住んでいる人に失礼なことをするな、という徹底した自由放任の考え方である。
病気になろうが死のうがそれは本人の勝手−というものだ。
そうでなければ、政府発表の年間20ミリシーベルトを無条件に安全数値として容認しろといっていることと同じであろう。その20ミリシーベルト自体を健康に害を与える恐れがあるという専門家の指摘は顧慮する価値がないというふうにも聞こえる。

ここからはわたしの推測だが、池田女史は反原蓮の支持者で、この反原連が福島子供妊婦集団疎開原告団支持者に対して財務省前でデモをしたりビラをまいたりするなと恫喝をかけてきているトラブルがネット上で騒ぎになっているわけだが、その流れの中で反原連への肩入れメッセージではないかと思う。
だとするなら、唾棄すべき政治主義、政府マフィアと同罪だといえる。

もっとも安全な環境で育児・出産をしたい人達にはそれを保障してあげればよいのではないか。法的経済的に支えてやる体制だけ整えて、そののちにそれでも各自の生活生活事情があればそれは選択に任せる、それが福島の子供妊婦に寄り添う最善の方法だと思うが、どうだろうか。わたしはそう思う。

それは下記の「週間金曜日」のレポートを読むと、既に子供たちの4割以上に甲状腺の病状が現れてきており、事態は逼迫している。
この他府県にはみられない福島の子供たちの危機を政府も県庁もマスコミもひた隠しにしているが、事実を明らかにして、集団移転をサポートし、一方福島県庁は継続的医療を県内で保障するべきである。

核戦争防止国際医師会議の勧告書」(週間金曜日2012,10,2)

核兵器原発の廃絶を訴えている「核戦争防止国際医師会議」はこのほど、共同代表のティルマン・ラフ准教授(メルボルン大学)ら三〇人の医師や学者が福島県を視察した後、「年間一ミリシーベルト以上の被曝をしている子どもや妊娠可能期の女性に対する移住支援」等を求めた勧告書を発表した。

 さらに、同「会議」の母体である「社会的責任を果たす医師団」の創立者で、世界的に著名な医師であるオーストラリアのヘレン・カルディコット博士も八月に「放射能汚染下における日本への一四の提言」と題する文書を発表。そこでも同様に、「高線量放射能汚染区域にまだ居住しているすべての人々、特に子ども、妊婦や妊娠が可能な女性は、ただちに日本国内の放射能汚染がない場所へ避難してもらうべき」と強調している。

 博士は、(1)日本国内全土の土壌・水の放射能検査実施(2)放射能を帯びたゴミ・瓦礫の焼却無条件禁止――等も求めているが、政府は現在も勧告をすべて無視した形だ。「計画的避難区域」を年間二〇ミリシーベルトに達するおそれがある区域と設定し、それまでは「居住は安心」として、子どもたちや妊婦の避難を拒否している。

 だが一方で、福島県内の子どもたちの健康悪化が懸念されている。福島県が実施中の一八歳未満の全県民甲状腺検査では、嚢胞・結節ができて何らかの異常が認められる割合は今年三月発表で三五・八%だったが、八月発表では四三・六%に上昇。こうした数値は他県平均の約四〇〜五〇倍に達し、さらに八月の二次検査で一人に甲状腺がんが初めて発見された。

 検査を担当した福島県立医科大学側は「放射線の影響とは考えられない」としているが、一八歳未満の甲状腺がんはきわめて珍しい。国際的に広がる声を無視し、子どもたちや妊婦を「放射能汚染区域」に放置し続けている政府の姿勢が改めて問われそうだ。

(成澤宗男・編集部、9月21日号)