衆院選東京8区は日本の縮図、鈴木寛民主党候補殴打事件に視えるもの

「14日午後6時半ごろ、東京都武蔵野市のJR吉祥寺駅前で、民主党鈴木寛元文部科学副大臣参院選の街頭演説中、女に顔面を殴られた。女はその場で取り押さえられ、駆け付けた警視庁武蔵野署員が公選法違反(選挙の自由妨害)容疑で現行犯逮捕した。

 鈴木氏の事務所によると、女は「うるさい」と叫びながらペットボトルの液体を掛けた上、殴った。鈴木氏は額にけがをし、取り押さえる際に運動員の女性も腹部を蹴られたという。

 鈴木氏は東京選挙区に出馬している
共同通信)」


鈴木寛候補は、民主党前原グループで、元文科省副大臣
評価は真っ二つに分かれているが、灘高−東大卒−経産省官僚出身というエリート人脈が支持者の根源である。一応自民党ではないから、今のネトウヨ化した自民党より人権感覚や国家主義色が薄い、弱者への配慮やヘイトスピーチへの批判などは感じられる。

しかし前原グループであることは、防衛問題や日本の未来像などは自民党とさして変わらないとみていいだろう。いわゆる米国隷属、米国一体化とみていいだろう。
だから自民党嫌いの福島の市町村長レベルでは汗をかいてくれたという評価があったり、東大人脈のジャーナリストや学者とメディア露出で受けていたりする。
東浩紀上杉隆宮台真司なども懇意と聞く。


方や厳しい批判もされていて、東大やジャーナリストや文化人から外れた生活現場から民主党原発対策に異議を唱えている人々である。

鈴木寛副大臣の時、3.11は起こったのだが、SPPEDIの公開を止めた本人である。存在をしらなかったと発表し、万一公表したらパニックになったと公表しなかったことを正当化している。

この件は一年後、2012年3月3日の共同通信に、SPPEDIの存在は文科省内で存在が知られており、それを発表中止の文書が存在したことをすっぱ抜かれる。
ところがこれも、官僚がメモとして書いたもので、政務三役は知らなかったと弁明。ますます疑惑は深まり、鈴木の言うことの信憑性が薄れていった。

更に、福島はじめ女性の批判は強く、それは子供の被曝線量を医学的根拠もなく20ミリシーベルト/年間を上限許容量と決めた本人である。
これは東大人脈の医師がバックにいて決定したそうだが、諸外国の基準1ミリシーベルトを大きく上回っている。東大医師人脈がその後被爆者を巧妙にモルモット扱いして検体としていく政策をとっていくことは、当事者の福島県民には知られたことではあるが、複雑なのでここでは省く。
興味のある方は、サイト「T&Jメディカカルソリューション」のきむらとも医師の論述をおすすめしておく。
東大人脈の医師たちが、経済優先と福島県行政官僚たちの意向をくんで、いかに棄民政策を巧妙に作り上げているかがわかる。
このきむら氏の報告には、当時民主党内でも、20ミリシーベルトへの懐疑と子供の集団避難を検討すべきだという意見を言う者もいたらしいが、鈴木は普段みられない激高をして20ミリシーベルトでいくんだと怒鳴ったという党内のエピソードを聴き語っている。

今回東京8区は、定員5名で、当選圏最後の一人を山本太郎と争っている。
その中での殴打事件であるため、鈴木陣営は山本側の仕掛けた謀略だとか、ヒートアップしているのだが、反自民陣営で軽率な争いをしてあほかと顰蹙をかっている。まあそれだけ切羽つまっているのだろう。

民主党は大田原雅子を公認せず、鈴木に一本化したわけだが、執行部がいかに松下政経塾と旧民社党系に牛耳られているかがわかる。太田原は旧総評系と市民グループ系だ。管直人は執行部を無視して大田原の支援に回っている。
東京は自民党同様党内分裂選挙となっている。

私は、鈴木寛はこれから頭角をさらに現してくる政治家になるとは思う。それはやはりバカではなく、統治ということを解っている。期待はしている。
しかし、エリートである点で、信用はしない。彼らの視線は、吉本隆明が生前口を酸っぱく述べていたように、無意識に国民といったとき、平均収入以上の層を想定しており、平均収入より下の下層や貧困層は相手にしていないからである。この日本的エリートが、イデオロギー的にどのように仮装しても、最後は大衆を裏切ってきたという歴史的経験をもとにしている。
福島被曝以降の子供たちへの対策は、その体質が如実にみてとることができる。

私はこうしたエリートなら自民党がすでに当確2名なのだから要らない。山本太郎議席を確保して欲しい。反原発を愚直に訴える素人の至誠こそ今は必要だと思っているからだ。

なお、原発爆発時の対策への不備は、自民党でも似たものだった、あるいはもっとひどくて、東電が撤退させてくれと泣きついた時、自民党ならひょっとすると認めて4基を爆発に任せて東京は壊滅していた可能性もあると思っている。
なにせ、東電等原発マフィアの長年の買収工作は民主党の比ではないのだから。官僚と原発マフィアに汚染されきったマスコミが、民主党打倒の宣伝隊として管総理と民主党の批判やネガキャンを繰り返してきたが、私は、自民党なら撤退もあった、管総理だから何とか押しとどめたとある確信をもって言うことができる。
あるいはそれほど優劣のつくほどの対応はつかなかった推測する。
我々もみんなどうしていいかその瞬間はわからなかったのだ、国民全体が安全神話に取り込まれていたではないか。そこは押さえておいて批判した方がいい。
もちろん、管総理の失政は消費税でありTPP参加であるが、自民党がそのまま引き継いでしまったことをみてもわかるように、私としては許すことのできない裏切りであったと思っている。
しかし盥の水と一緒に、赤子まで流さないことが大切だろう、この世に絶対正しい政治家などいないのだ。だからチェックが必要なのである。

とりとめもなくなったが、東京8区の戦況は、日本の今の縮図で目が離せない。
原発爆発災害を機に、政治に覚醒した素人・市民の象徴山本太郎が、それでも推進する悪しき保守自民党と、中途半端に立ち位置をのらりくらり変えては自民党を補完する民主党や野党。そして反原発を掲げる少数野党すべてが山本太郎を支援に回っても勝ち目が危ぶまれるという事態、ここに日本の縮図が描かれている。

さらに裏切られ続けてきた市民がペットボトルで前政権の副大臣を殴るという「惨事」も日本的であり、「惨事」には違いないが、半世紀前社会党浅沼委員長刺殺事件より、はるかに民主主義は進展定着していたのだと思った。
それとも、それだけ日本社会に管理システムは浸透しきって、中東のように反乱とか、中国のように暴動という言葉が死語となり、下層国民は沈黙とエリート層への忍従が刷り込まれて、何があっても異議申し立てをしないと決めてしまったのか、怒りはこの程度なのか、よく解らない。
よく解らないが、原発は止まらず、廃棄物も処理方法がみつからず、もう一度地震がくれば日本は壊滅するのに、それを確実に選択していく自民党公明党が当確であるというのだから、いくらか定着した民主主義の質を疑わずにはいられない。

いずれにしても山口二矢(おとや)のように短刀ではなく、ペットボトルであるところに、まだホッとさせられたことは確かである。