管直人元総理のフクシマ事故対応の述懐と私的証言に思うこと

これは現職大臣の偽らぬ回顧と原発への認識を示していて、わたしのように民主党を不支持のものにも、参考にしておく価値はある。

わたしは、概ね3.11フクシマ原発事故対処に関しては、管総理(当時)を評価している。
すくなくとも、気の弱い調整型の政治家だったなら、東電の撤退を認めていた可能性もあり、攻撃的な管総理であったゆえの功績ともいえる。

また、自民党政権下で、原発事故は起きないという前提ですべてが動いてきたなかで、いち早く事故対策統合本部を立ち上げた手腕も評価していい。

そのほか、知らなかったこともあり、管総理の個人的証言と弁明に異論はない。

しかし、にもかかわらず釈然としないものは何か?

それは管総理が、盛んに保安院から情報があがらない、斑目が解らないという、東電から情報がこない、およそ専門部署から正確な情報が上がらないという事実に対して、政治主導を掲げた民主党自身が、そうした危機対応の危機意識も、対応のスタッフ(外部も含めて)をもちえていなかったかということである。党として自民党を凌駕する政党でもなんでもなかったと、こと原発問題にはいえることである。
それは、いま原発推進を方針とし続ける東電労組はじめ、大手企業の労組が中心の連合を主力支持母体とする民主党の性格を示唆している。

要するに、自民党同様安全神話の上に胡坐をかいてきた結果であり、二大政党と標榜していても、前提は原発に関する限りにたりよったりだということを無言に語っている点である。

この政党が、個々の政治家の考えを党としてまとめ、果敢に脱原発としての対策をうてていないのは、管直人の見解と違って、構造的に自民党と政治基盤を同じにする野田執行部に原因があり、それを管直人が容認(制御不能)しているからではないのか。
そういう疑問がどうしても湧いてくる。