本当の野党は小沢一郎だけだったのか−小選挙区制自民圧勝(’14.12.14)

自公3分の2は民意と呼べるのか 「本物の野党」存在せず ジャーナリスト・田中良紹
(THE PAGE - 12月15日 08:30)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=177&from=diary&id=3185511

田中の分析はいつもながらジャーナリスティクにはそつなく分析できている。

民意と呼べるかどうか、それは呼べるとも呼べないとも言えるが、そういう問題の立て方はいかにも青臭い書生的議論だ。
今の政治制度は、どう投票率低下をあげつらっても、結果として議席数は減らず得票数に従って定数を与えられ、それが国会の意思決定となる限り、実体として多数派の自民党へ全権委任することになるからだ。

田中の分析がジャーナリスティクに、と述べたのは、諸相は見られても基本的に日本人は土人であることを止めたわけではない、という点で何ら変化はないのである。

街頭インタビューの多くにみられたし、またリベラル系マスコミや識者が言いつのった大義なき解散選挙で意味がわからない、そのため選挙に熱が入らないとか、有権者は投票行かなかったという。

日頃の安倍政権の政策と強権的言動を見ていれば、野党であれば大チャンスであり、争点は自ら組み立てられたはずである。
有権者は、日常の中に生活苦も子供達の未来も日本の行方も何も考えていなかったということだろう。考えていれば、自らの問題意識から、マスコミや安倍政権のいうことはどこか皮膚感覚と違い、虚偽の幻想ではないかと疑うこともバカでない限り一つ二つあったはずである。

そして最大の土人集団は、野党である。
田中が指摘しているように、政策の一致がない限り野党統一戦線は組めないなどと、分断の常套句をばら撒く官邸機密費をもらった犬のプロパンダに乗せられて、ガキの理屈を政治に持ち込む野党ばかりだった。
特に維新の会は未熟政党らしく大阪では民主党と連携しながら負けるとハッキリしている維新の会候補が我をはって一本化を拒否、見事に本人は負けた。
こういう自党にも選挙民にも顔を向けておらず自我欲だけの未熟な政治家がいる限り、小選挙区制では政権を取れないのである。

維新の会は「三国志」でも読んで、政治の基本を学べ。

ということで、野党も選挙民も、政治はお上が与えるもの、自分の生活の上を通り過ぎていくものというアジア的土人の綿々とした思考法が根底にあることを、今回モロに露呈した選挙だったといえよう。

このなかで、野党共闘を仕掛け、生活の党がさらに少数になるのを承知で民主党へ4名鞍替えさせ、打倒自公の一点で候補者調整を呼びかけ奔走したのは今回も小沢一郎だけであった。

大人の政治家は、日本には小沢一郎だけだという貧弱さが、われわれ国民の政治意識の貧弱さであることを自覚しておくことが大切だろう。

■自公3分の2超の勢い 衆院選朝日新聞社中盤情勢調査
(朝日新聞デジタル - 12月10日 16:53)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3179385

ようするに、パワーエリート層に貢げ、貧乏人は奴隷になれというアベノミクスに、美辞麗句で幻想をもって、パワーエリートのけつの穴をなめてはおこぼれを貰いたい。奴隷になりたい、ということですね。これが自民党支持者。

理想原理主義とでもいうか、非妥協的に自己の言論ポジションを確認して、自意識の満足を追求する。幼稚な善悪二項対立的思考しかできない単細胞、ある意味で心性としてはネトウヨに通底するニヒリズムの裏返し、これが共産党支持者。要は「正しくない」奴と一緒にはできない、政党エゴを支持する独善主義者。あるいは、正しい幻想で騙して欲しい、現実の変革はできなくても夢の中にいたい、といったらいいだろうか。

この自民共産の伸びる根底には、党のいうことは正しい、黙って服従せよという政治手法に、騙して騙してという国民の自立できない、つまり近代市民になれない田吾作の合作であるということだ。

わたしは、自民党共産党が対立しつつ野合する政治を、かつて東大全共闘の収束過程でみた体験から、エゴと非民主、ファッショとスターリニズムを体験して、あれに近い時代がきたのかと身震いするおもいだ。
民共産の野合なら、自公の、あるいは自民民主の方がまだましだ。民主主義のコストを彼らはまだ払う。うだうだいいながら勝手なことをみんなが言いながら落としどころを決めるーそういう民主主義の基本は守られる。一枚岩だとか、金で支配する政治は党官僚の強さだけはあるが、グダグダ言い合う民主主義はない。

さて生活の党小沢一郎と岩安身が対談。きわめてまともな話だ。
クリップ
消費税増税延期なら、会期中に修正法案を出すのが筋

岩上安身(以下、岩上)「本日は、生活の党代表の小沢一郎さんにお話をうかがいます。今回の解散、不意打ちのように思えますが、これを予測することはできなかったのでしょうか。7月のロイターのインタビューでは、『年内の解散はない』とご発言されていましたが」

小沢一郎氏(以下、小沢・敬称略)「今回の解散は、大方の人は予想をしていなかったと思います。先日の政府の発表にあったとおり、景気が下振れしてきており、アベノミクスに実態がないということが、国民に分かってきたのでは。それで、野党が結集しないうちに、やってしまおう、と」

岩上「今回の解散では、野党が内閣不信任案を出していません。その意味で、大義なき解散ということが言えると思います」

小沢「安倍さんは、消費税増税延期ということも言っています。それなら、増税延期のための修正法案を提出することが先決ではないでしょうか」

岩上「本気で増税の延期をやる気であれば、解散前に法案を通していただろう、と。そうなると、多数の議席を占めた後、延期しないということもあり得るのでしょうか」

小沢「修正しないと、そのままになってしまうわけですからね」

共産党との連携可能性〜沖縄の「保革共闘」をモデルにできないか

岩上「小沢さんはこの間、民主党の幹部と会ったり、エールを送ったりということがありました。野党は、大同団結ができるような動きを模索していたのでしょうか」

小沢「なんとかして、自民党に対する受け皿を作ろうという動きは強まっていました。しかし、民主党が、『民主党のもとに一つになるのなら』という話でした。それが、今回、受け皿ができなかった大きな理由の一つだろうと思います。もう一つが、今回の解散に不意をつかれた、ということがあげられます。

 民主党が主導してもいいんですけど、民主党の中に入る、というのは難しいという人がたくさんいます。政権の交代がない選挙というのは、国民の関心を呼びにくいと思います。やはり、選挙というのは、政権の交代がないと」

岩上「受け皿を作るという時に、共産党のことはどう考えていらっしゃるのでしょうか」

小沢「共産党が政権の枠組みに入るためには、基本的な理念、政策において、共産党が変わらなければいけないですよね。憲法を不磨の大典にするのではなく、もう少し柔軟にならなければ。

 共産党は、候補者を全選挙区に立ててしまっています。これでは、野党の足を引っ張っているので、自民党の補完勢力になってしまっています。しかし、柔軟な姿勢に転じれば、共産党を仲間に入れてもいい、ということにはなるかと思います」

岩上「沖縄では、元自民党の人たちも参加し、保革共闘が実現して、『オール沖縄』が成立しました。そこには、共産、社民、生活、そして元自民党の仲里さんが入っています。これは、野党連携の、ひとつのモデルを示したのではないでしょうか」

小沢「野党の統一体を作ろうと言う時、最初から共産党を含めるという姿勢では、うまくいかないと思います。まずは、共産党以外の政治家で統一体を作って、そこに共産党に入ってもらう。そういうかたちでなら、可能だと思います」

岩上「原発、消費税増税集団的自衛権、TPP、これらだけでは、沖縄の基地問題と同様に、各党が連携するためのテーマにはならないということでしょうか」

小沢「いや、そういうことでもないと思います。例えば、維新は、だいぶ柔軟になっていると感じています」

安倍氏が一年半後に総理をやっているかは分からない

岩上「安倍総理は、消費税増税に関して、景気弾力条項を削除すると言っています」

小沢「まあ、一年半後に、安倍さんが総理をやっているかどうか、分からないですからね。国の内外の情勢が、非常に厳しい。中国の景気が腰折れしたら、全世界への影響が大変なことになります」

 習近平国家主席になり、自由主義的な動きを、非常に強く押さえています。中国が落ち込むと、すぐに世界に波及します。そうなると、安倍さんは安泰というわけにはいかなくなるでしょう。

 憲法改正ということが言われていますが、私は、そこまで自民党の腹は固まっていないと思います。そうなると、さすがに国民も黙っていないでしょう。だから、安倍さんは、自分の地位を危うくしてまで、そうしたことはやらないでしょう」

アベノミクスは一部のパワーエリートのための政策

岩上「自民党が勝利すると、アベノミクスが継続されることになると思いますが、その結果はどうなるとお考えですか」

小沢「ごく一部のパワーエリートだけを正規社員にして、大多数を非正規にしようという答申が出ています。しかし、これは社会不安につながりますね。

 円安で物価がどんどん上がるので、消費者は財布のヒモを締めるしかない。非正規は簡単にクビを切られ、悪循環に陥っていきます。それから安倍さんは、農業にまったく関心がありませんね。欧米は、農業に補助金を出し、自給率を維持しています。これを見習うべきです」

岩上「安倍総理は、前回の衆参の選挙で、TPPはやらないと言っていました。自民党大西英男議員にインタビューした際、関税は段階的に撤廃すると自民党の議員はみな考えている、と言いました。自民党は、JAの解体まで唱え始めています」

小沢「私は、規制改革に関しては賛成なんです。農協の中央組織は巨大化し過ぎて官僚化しているので、ある程度改革をすることは必要だと思います。しかし、農協をやっつけるのと、農家をやっつけるのとは違います。農協は、もっと農家と密着した組織にならないといけない」

岩上「小沢さんはもともと、民主党の中枢にいらっしゃいました。それでも、政策論議を戦わせる中で、民主党を割って出ました」

小沢「一番の理由は、やはり消費税です。国民にウソをついてはいけません。これでは、自民党と同じ。だから、選挙で負けてしまったんです」

岩上「強い思いで党を割ったにも関わらず、民主党と合流するのは難しいとも思います。公約をよく見ると、生活の党の公約は、社民党共産党と近いように見えます」

小沢「共産党は、物事をスパスパっと結論を出しているから、分かりやすいのでしょう。選挙の戦術的な点では、共産党と話しあう余地はあると思います。候補者擁立という点で、ひとつの受け皿ができれば、候補者は出てくると思います。

 共産党との問題は、安全保障と日米関係。国民を守るための、一定の武装組織は必要だし、政治的、経済的に日米関係は非常に大事ですから、その点で共通の認識を持つ必要があります」

新自由主義は、民主主義の否定につながる

岩上「小沢さんの演説を聞いていますと、『かつての自民党は』という言い方をされます。それは、いつの自民党のことなのでしょうか。実は、中選挙区制の時の自民党のことではないのでしょうか。自らが壊した自民党を、自らで懐かしんでいるのでは」

小沢「そうではなく、政治思想、政治哲学の問題です。自民党が、新自由主義的な政党になるなら、それはかつての自民党ではない、ということです。私は、日本の伝統に立脚した自民党と、より開放的なもうひとつの政党による、二大政党制を目指しました。

 新自由主義というのは、当面の大企業の利害と一致するだけのものです。目先の利益ばかり。国民全体に、一定量を分配し、セーフティネットを整備しなければなりません。新自由主義は、反民主主義の考え方だと思います」(IWJ・平山茂樹)