菅新総理誕生とマスメディアの民主党内分断悪質報道−「小沢色排除」

まだ菅直人が新総理に確定したわけではないが、報道ではほぼ確実視されている。

昨日はほとんどメディアの報道に接っする暇がなかったが、今朝午前中に集中的に拾ってみると、かえってマスメディアが事実報道の裏に相変わらず世論誘導の都合のいい事実だけを、検事の作文調書よろしくひとつのストーリーとして提示していることがわかる。

鳩山総理のくだらない未練にゆがんだ議員総会での辞任発表もあって、再び不毛な「政治と金」問題へ揺り戻し、小沢一郎をマスメディアともども、党内からも排除しようとしている。

マスメディアは、これが小沢の仕組んだ選手交替劇だということを忘れて、小沢の影響力排除が、菅新総理誕生の条件であり、それを菅が着実に踏まえて反小沢派の推薦を獲得し、反小沢派は先手を取って菅に小沢との距離をとるよう条件をだしていると報じる。

思わず苦笑してしまった。

一体この鳩山降ろしと、間髪をいれず菅が立候補をして、しかも菅がこの間おとなしくしつづけ、左派にもかかわらず普天間問題に沈黙を守り通して無傷で登場したことを考慮すれば、わたしのような素人にもマスメディアの報道はおかしいことがわかる。

事実は逆であろう。
菅は小沢と十分意思一致していて、鳩山の次は菅だと合意されていたとしか読めない。
なぜなら、最大派閥の小沢抜きで総理になれるなど菅がバカじゃあるまい思っているはずがなく、組閣人事の大枠までほとんど合意ができているとしか読めない。

それがわかっている反小沢グループは、誰も自派から菅の対立候補を出すことができず、菅に小沢コントロールをしてよね、我々のことも考慮して組閣をしてくれよといってるに過ぎないのである。

マスメテ゜ィアは事実報道といって、世論誘導の倒錯した「言い回し」をしているのである。

組織に身をおいたものなら、これから政治をやる者が、最大派閥のボスにあからさまに「静かにしていることが身のためだ」などと公の場で啖呵をきるわけがない。

何かにつけて小沢の配慮がますます必要になり、菅にとっても最も優先される労組との関係をしっかり握っていることによって小沢は今や菅の盟友なのである。

マスメディアがあからさまに事実を隠している部分は、一昨日菅が夜総理官邸へ入ったまま行方がつかめなくなった事実である。

TV局は、その後小沢の居るホテルへ菅もどうも入ったようだと報じたところと、撒かれて行方不明だと報じた局に分かれた。

ここが恐らく小沢と菅の微調整と段取りの時間であったと推測する。あくまで微調整である。シナリオは鳩山下ろしの前にできていた。

衆議院選挙前から、これだけ小沢がメディアと守旧派にたたかれれば、バカで無い限りいくら「冤罪」であっても支持率に影響することぐらいは解っているだろう。

小沢の成熟は、こうして気配を消すことができるようになった点である。
また、自民党時代は敵であったはずの労組との政策合意ができる幅をもち、しかも消費税率については完全に新自由主義的な単純料率アップ論を退けていることだ。

いい意味での保守を成熟させていることである。
これは前原、岡田、仙石、枝野などの新自由主義者とその官僚らに親和的なグループには、目障りこの上ないのである。

今の日本の危機は、地方の崩壊である。都会には金が回っている。収入が減ってもまだライフラインの利便性は確保されているが、地方は崩壊しているのである。

民主党の反小沢グループは、もともと都市中間層を支持基盤としているが、それだけでは民主党は政権はとれない。小沢が自民党の地方票を切り崩した結果が政権樹立に繋がっているのである。それが政策に反映されないなら不合理きわまりない。
地方では、まだ道路も橋も高速道路無料も、生活維持に直結したインフラなのだ。農家も後継者がいないなかで、小作を必死で守っている。それらへの当面の支援であり、都会に住む地方の享受だけで生きている連中とは水準が違うのである。

この小沢と反小沢グループの闘いは、地方切り捨てに拍車をかけ、新自由主義官僚路線を復活させて、小泉以上に強めるかどうかのたたかいである。
みんなの党なみに堕落するかどうかということ。)

マスメディアは民主党政権を潰せるかどうかの参議院選挙である。
したがって、マスメディアはこの両派の分断報道を益々意図的に増幅し、B層に面白おかしくストーリー展開していくことだろう。特にテレ朝と読売は明確にその傾向を強める。

民主党の要である小沢を潰すことで、あるいはすくなくとも小沢排除で、マスメディアの「よき時代」(=浅薄な正義とモラルが通用した善人悪人の二項対立時代)を維持できると錯覚しているのだが、そう単純に問屋が卸すかどうか。

ところで、かつて1992年に「産経新聞」と「夕刊フジ」の編集・社長を務めた永田照海氏が世論調査の嘘について書いた本を出版された。

新聞人の反省と自戒の書である。

これから参院選挙もはじまるが、タイムリーにもそれを「ジャーナリスト新聞」の論説が紹介しているが、長くなったので記事全文は次に掲示する。