スラップ訴訟が次々に敗訴する、しかし増える一方だ! めげるなジャーナリスト!

極右議員で海外メディアでも警戒されているらしい稲田明美が、あの在特会との親密度を報じた「サンデー毎日」を名誉棄損で訴えた。
この3月11日稲田氏がヘイトスピーチ団体との親密な交際は真実だとして、稲田氏の敗訴が下された。

続いて4月19日大阪地裁でまたしても稲田氏の敗訴が決定した。今度は「週刊新潮」へ記事掲載謝罪と損害賠償500万円を求めていた。これは時効らしいが、「ともみの酒」となずけた酒を地元献金企業に配っていた事案である。発覚が時効になっただけで、事実は秘書の証言もあり明らかに公選法違反だと報じられている。
極右議員と団体はとにかく威嚇、恫喝が得意だから、こうしたメディアに対するスラップ訴訟を多用する。
スラップ訴訟とは、力の優位にある者が立場を守るために対抗的訴訟を仕掛けて相手を威嚇、撤退を促す訴訟である。
住民訴訟などに用いられ、相手の訴訟費用と裁判の長期化で判決の如何を問わず相手を潰す方法として利用される。

しかしこれはもろ刃の刃ともいえる。
例えば橋下徹大阪市長の場合。

府知事時代の2011年、月間「新潮45」11月号の記事をめぐつて名誉棄損慰謝料1100万円支払い訴訟である。記事は精神科医野田正彰氏が「橋下は精神の病気」であると報じた。

2016年4月21日大阪高裁は、橋下勝訴の新潮に110万円支払いを命じた地裁判決を破棄して、橋下敗訴の決定を下した。

こうなると「公に」橋下は「病気」だとお墨付きを与えられたようなもので、事実として確定してしまう。

記事は次のように報じた。
高校時代の逸話として、平気で嘘をつく、と書かれたが、「真実であると信じた相当の理由がある」、という判断がなされている。

根拠は、橋下の高校時代の生活指導教諭が、「嘘を平気で言う、ばれても恥じない」と証言していることもあり、野田氏は、

「自己顕示欲型精神病質者」
演技性人格障害
と評価。
しかしこれは名誉棄損にあたらないと棄却したわけだ。

報道記事を書く場合、裏をとるのだが、証言などの出処が明らかでそれ以上裏を取る必要がない場合は真実と判断せざるを得ないのである。もちろん証言ソースの守秘義務があるためその辺はむつかしいところもあるが。

いずれにしても、裁判所は橋下が病気である、という判断をしたわけではないが、野田氏の精神科医としての診断をより不動のものにする効果はあったはずである。

こうしたスラップ訴訟はこれだけ「話し合いで解決しよう」とい基本を忘れた時代、相手は敵だぐらいにしか思わないエリートの精神は、ますます増えていくだろう。
しかしわれわれは、メディアにはスラップ訴訟で委縮せず、ジャーナリズムを貫いて欲しいものだ。

しかし残念だがそれに逆行するジャーナリストの跋扈する事実が周知のこととはいえ、法的判断が出たので、次回はそれを書いてみたいと思う。