東京地裁判決に強い偏見と差別判断に抗議をしたい。
昨日精神障害国家賠償請求訴訟研究会の臨時総会が行われたが、
弁護士、医療関係者、ソーシャルワーカーからは、裁判官の無知と偏見を強く批判する意見が噴出していた。
東京地裁民事12部、高木勝己裁判長、秋山沙織裁判官、三井みのり裁判官3名は、驚くほど精神医療の現実を理解しておらず、その辺でお茶すすっている巷のおばちゃん並だと言うことが露呈した。彼等の判断は、ひとことで言えば、「入院したのは、家族とあんたの自己責任やろ、国に難癖つけんなよ」と言ってるわけだ。とんでもない話である。この幼稚な認識は裁判官不適格者である。
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精神医療国家賠償請求訴訟(伊藤時男さん裁判)東京地方裁判所判決に対する声明2024 年 10 月 1 日、東京地方裁判所において、伊藤時男さんを原告とする国家賠償請求訴訟(令和 2 年(ワ)第24587号)の判決が申し渡された。裁判所は、長期入院の原因を、時男さんの病状が芳しくない一時期のカルテ記載内容を根拠に「原告の病状」によるものとし、国の不作為責任を問うた原告の主張を一蹴した。特に、判決理由においては「統合失調症などの精神疾患を有する患者については、判断能力自体に不調を来すことがあり、患者本人が適切な判断をすることができず、本人の同意がなくても入院が必要になることがあり得ることは公知の事実というべき事柄」であると断じている。これは、一時的な判断能力の不調を根拠に長期の社会的入院を当然とする、裁判所の精神障害者に対する差別的偏見を示したものといえる。また、入院の長期化は「入院生活の方が楽だという気持ちになっていた」原告が「入院生活を継続することを自ら選択するに至ったもの」とする被告国側の主張を認め、施設症による自発的意思表明が難しい社会的入院状態にあったという原告の主張を退けた。さらに、精神医療審査会や人身保護法による「救済の途は当然開かれている」にもかかわらず、原告は「退院等の請求をしたり、弁護士に救済を求めることはなかった」とし、長期入院は「同意入院や任意入院等といった制度の問題であるとも、精神医療政策の問題であるともいうことはできない」としている。この国における精神医療の現実と入院患者の置かれた状況を一顧だにせず、患者個人の自己責任に問題を還元している。裁判所は「よって、その余の点を検討するまでもなく原告の請求は理由がない」と結論し、原告の請求を棄却した。2020 年 9 月 30 日の提訴以来、丸 4 年、計 16 回の口頭弁論を経てくだされた判決としては、あまりにも理不尽な中身のない判決と言わざるを得ない。精神科病院内の現実を知らない裁判所の不見識に、ただただ唖然とするしかない。40 年にわたって社会的入院を強いられ、人生の大切な時間を失った、時男さんの悲しみと悔しさはいかばかりであろうか。2024 年 10 月2日精神医療国家賠償請求訴訟研究会