北朝鮮帰国事業判決(2023.10.10東京高裁判断)

原告川崎栄子他5名(脱北者)。

被告北朝鮮に一人約1億円の損害賠償請求。

1959年~84年在日朝鮮人93000人が北朝鮮へ渡った。

北朝鮮は未承認国のため国際法上の「主権免除」規定は及ばないとして地裁へ差し戻し、日本の裁判所に管轄権があるとした。

【訴訟内容】

➊「勧誘行為」

原告らを虚偽の宣伝で帰国事業に誘った。

➋「留置行為」

北朝鮮から出国させなかった。

【判決】

➊は20年の除斥期間を過ぎて請求権が消滅。

➋は➊➋とも全体を「一つの継続的な不法行為」と評価、

日本で発生し管轄権は日本にあるとして、地裁判決を覆し再審理すべきと判示した。

川崎さんは今も北朝鮮家族とは会えない状況が続いている。

今後は日本の北朝鮮財産の差し押さえも検討すると弁護団

なお、今回は北朝鮮だけを告訴したが、当時の情勢から、日本政府(岸信介首相)、赤十字社朝鮮総連、朝日他全国紙など、帰国事業を推進し煽った団体が問題として残った。

(「週間金曜日1450号」2023.11.24掲載記事より、管理者が要約)

まさに「時代の犯罪」だろう。

日本の多くは、すでに北朝鮮の矛盾と問題が明らかになりつつあった中で、戦後処理の安易な政策とした日本政府、後進地域の社会主義国(スターリニズム)、社会主義が資本主義を解決する唯一の道だと洗脳されていた時代の左派知識人たちが積極的に推進した。

北からは、ノルマとして在日朝鮮人家庭に帰国人員を要求していた。

そこには家庭の事情、本人の意向などで、必ずしも歓迎されたわけではない。

しかし時代の流れは、「輝かしい北朝鮮」の喧伝と煽りは日本国内の「良心」の証のようなものとなっていた。

マスコミにあおられ、知識人の権威に追随し、「大衆の原像」を繰り込まず思想は存在証明にすぎないものであったように、今となっては思われる。

私たちはゆめゆめ同じ過ちを侵してはならない。

それにしては、現在はマスコミの劣化に伴い、SNSのWissenshaftを逸脱したデタラメ言説が溢れ、さらに過ちを侵しやすくなっている。