【ワシントン=岡田章裕】国際通貨基金(IMF)は3日、日米欧や中国、インドなど世界20か国・地域(G20)の債務残高見通しを公表した。日本については、金融危機対応の景気対策に加え、社会保障費の伸びなど「財政出動圧力が特に強い」と指摘し、2014年には国内総生産(GDP)の約2・5倍に拡大するとした。G20全体は約0・9倍、G20内の先進国は約1・2倍で、日本の財政悪化が世界で突出していることを裏付けた。
IMFが7月に公表した見通しの第1弾と比べると、日本の債務残高の対GDP比%は6・4ポイント上昇し、上昇幅はG20内で最大だった。
IMFは、金融危機対応による国債増発などで長期金利が2%押し上げられると試算。危機対応の政策を平時に戻す「出口戦略」を「すぐに策定すべきだ」と警告している。
IMF報告書 「日本は出口戦略必要」
早急な策定要求、財政赤字増を警戒
【ワシントン=岡田章裕】国際通貨基金(IMF)が3日公表した報告書は、主要20か国・地域(G20)に対し、金融危機対応の景気対策などで悪化した財政を健全化し、危機時の対応を平時に戻す「出口戦略」を早急に策定するよう求めた。政府債務残高がG20で最悪にまで膨れあがる日本には、重い課題が突きつけられた。
報告書によると、日本の財政赤字が09年にGDP比10・5%、14年はG20で最悪の水準と見込まれる8・0%と高止まりする。国債などの新規借り入れに頼らず、政策に使う経費を税収など本来の収入でどれだけ賄えているかを示す構造的な基礎的財政収支(プライマリーバランス)は10年に6・9%の赤字と、アイルランド、英国に次いで悪い。
報告書は、財政赤字が国内総生産(GDP)比で1%増えると、長期金利を中期的に0・2%分上昇させると試算。長期金利上昇によって国債利払い費負担が高まる国として、「すでに高い債務残高の日本とイタリア」を挙げた。
両国については、「高い水準の財政赤字で、長期の低成長を経験したことが注目される」とも言及し、「このような財政赤字は経済成長を阻害する」と警鐘を鳴らしている。その上で、出口戦略への移行は「時期尚早」という基本認識を示しつつ、「(両国を含めた各国は)出口戦略を早急に策定しないと、財政への信頼性は損なわれ、雪だるま式に財政赤字が増える」と強調している。
報告書ではさらに、安定的な経済成長の実現に向けて、出口戦略に中期的な財政健全化目標を含めるべきだとした。具体的には、政府債務残高をGDP比で60%以下に抑えるのが望ましいとしている。
ただ、日本が、総債務残高から年金給付積立金など金融資産を除外した純債務残高を30年までに80%以下に抑えるという目標を達成するには、プライマリーバランスを20年までに6・5%の黒字に転換し、30年までこの水準を維持する必要があるという。日本の財政健全化の困難さが改めて浮き彫りになった形だ。
(2009年11月4日 読売新聞)
現在800兆円の債務残高にたいして、国民の預貯金が1500兆円である。
この国民の預貯金でなんとか政府債務保証をしている形を維持しているが、長期金利の利率上昇とインフレ傾向が出た場合は注意しなければならないだろう。
現在のプライマリーバランスの不均衡は、母屋の税収勘定でマイナス40兆円ということのようだが、官僚の既得権益化している特別会計分を含めると、実際は30〜40兆円の黒字だという話もある。
いずれにしても、国民が正確に国家財政のバランスを知るためには、複式簿記が必須であり、先進国で未だ単式簿記でやっているのは日本ぐらいなものだろう。
菅戦略相は、ボーとしてないで急ピッチでこういう整備をして欲しい。
ぼやぼやするな!
また、このことをもって自民党小泉竹中式の緊縮策は少しも景気浮揚をもたらさない。
短期的には、なによりも景気浮揚による税収確保が必要第一であり、当面成長産業への投資として50兆円ぐらいはバンバンいれないとダメではないか。
ここ一番、の勝負時である。
経済の流動化を視野にいれない原理主義者=均衡論者は結果的にさらに財政悪化を招くのではないか。