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八月の海や亡者の澎湃と
晩夏光沖の翳りを父泳ぎ
百年を檸檬の香り大宰読む
慟哭を血肉となさむ野分立つ
善人と悪人の距離雁渡る
清張の球形の野に木守柿
竹を伐る無能の長の馘を斬る
月光に青白き頬手に刃
芒原翳り少年佇す
体内の水澄み水の昏くなる
弔いの列いつまでも蚯蚓鳴く
紅葉山越える紅葉の紅となり
花野きて核の真下の恋人よ
以上『六曜』no.17(2009,12,9発行)掲載分より転載。