■豊中市職員退職金問題−松岡信道(あきみち)市議を支持する

松岡市議(29戴)は、頻繁に駅前挨拶に立ち、「温故創新」(豊中から日本を動かす会発行)を手まきしている。
なかなか熱心な青年市議だと関心をもっていたが、本日その「温故創新vol19」で次の二点を訴えていた。


ひとつは、市職員の退職金問題。

これはどこの地方自治体も同じ状況と問題を抱えており、豊中市だけの問題ではない。
すなわち、民間企業のように退職給与積立金というものがない。

民間は、従業員退職金のために、銀行などと提携して長期の積立金を確保し、或いはそれを投資運用して手当てすることで、企業実績の不安定さの影響から退職金支払いを守る方式を持っている。
これが官公自治体にはない。

今のような自治体の税収の落ち込みで直接退職金支払いがしんどくなって、政府(自公政権)がとった打開策は、「退職金手当て債」の発行だというのだ。

これはわたしも知らなかったが、要は自治体が退職金確保の方法として起債・借金をしてもよろしいということを法的に決めたということだ。

起債ということは当然借金だから、松岡市議のような若いひとは敏感になる。
彼は具体的に数字を挙げて反対する。

平成21年の退職者は150名いて、総額は50億円だそうだ。そのうち20億円を借入が決定している。
金利2%で借入期間が10年、利息負担は約2億円にもなる。

この2億円を市民に負担をさせるのは忍びないし、財政再建中の市のとるべき方法ではないのではないかとして、次のように提案する。

4割が借金なのだから、6割は一括支払いにして、4割を10年分割で退職者に借り入れている形にして、起債発行は止めようではないかというのである。

金融機関からの借入だと2%の利息らしいから、退職者からの借入であれば、退職者側からみても普通預金並みの1%程度の金利はつくし、豊中市側の財政負担も軽減され両得であると言うのだ。
なるほど、ちょっとしたコロンブスの卵である。

彼がこの提案をする理由は、市民からは退職金4割カットという案も寄せられているが、法律で全額支払いが決められているため法改正が必要だが今年度は間に合わないこと、また市に尽くした功労者に4割カットは敬意を表す解決法ではない、というのが理由。

そして基本的なスタンスは、財政再建に取り組みはするが、市民サービスに切り込むのは二の次に考えて活動しますと宣言している。

この松岡市議の案と考えには基本的に賛成である。
ただし、「支払い方式として」今年度の緊急避難的対策としてである。

私見を言えば、やはり「退職金の額」は財政に見合った相当程度のカットは避けて通れないだろう。
今年度が時間的に間に合わないとしても、やはり原則論として向こう5年ぐらいを見通して次年度にはどうするか、という論議は必要ではないか。

豊中市とて、構造的にいつ夕張市化するか解らないし、すでにその5合目ぐらいにはいるのではないか。

そうなってからでは、市の職員も退職金どころではないわけだから、良識ある豊中を愛している職員であれば、十分理解はしていただけるだけろう。

もし難題というなら、議会解散をして選挙で問えばよいと思う。


二つ目は、基金繰り入れの問題である。

豊中市は平成21年度借入残高が65億円に達したそうだ。
ところが、特定目的基金(文化施設建設、借金返済、美術品購入など特定目的の積立金、また市民からの寄付金)から起債借入(将来投資の長期借入のこと)をしていて、実際にはあるはずの金が無いというのだ。

この目的外使用の基金繰り入れは麻薬のようなもので、この繰入金は借金にも関わらず一般会計では歳入扱いされるため、基金は無くなるわ会計ではごまかしになって実態をみえにくくするわで大問題だ、と市議は訴える。

誠に健全な指摘であり、この悪習を是非糾していただきたいと思う。

彼は以前にも借入金の返済方法で、金利負担の少ない制度組み換えを提案して採用されたと記憶している。
なかなか熱意あるセンスのいいこれからの有望政治家だとみている。
是非頑張っていただきたい。エールを送る。


(追記)
わたしの裏山の地主のおばあちゃんが、わたしが引っ越してきた当時ながながと豊中市の職員の給与が高すぎること、退職金でも民間と比して破格な額であること、また固定資産税がバブル期設定のままのため土地を手放さざるを得ないところにおいこまれること、緑のエリアを確保して残していきたいのにそれが出来ず残念だ、とこぼしていたことが思い起こされる。

実際今年度の上記金額からはじくと、平均一人当たり3400万円にもなる。
これは今や景気のいい一部上場企業の部長か役員クラスの金額ではないか。