TPPとは、「環太平洋経済連携協定」のこと。
オバマ大統領の教書に始まるアメリカの世界戦略の一環として、TPPが太平洋地域の国々へ提示されている。
農業問題だけかと思っていたらトンデモの話で、日本人の生活の隅々に影響を与える条約が判ってきた。
一言で言えば、日本の戦後営々として築いてきた格差の少ない福祉国家を激変させる爆弾を内部に秘めていることが垣間見れるのである。アメリカ型の弱肉強食の格差社会である。
しかし、情報が少ない。
その理由は、前原外務大臣が語っているが、6月までは検討期間だとしているため、国民どころか各省庁へも情報開示は限定し、政府(官僚)内部でチームによる検討を秘密に進め結論を出すとしているようだ。
菅総理は、6月には加入するかどうか結論を出すと宣言しているので、結局国民が政府見解を充分検討する時間的余裕を与えないということを意図していると解釈できる。
それほど、知らせたくない内容なのか?それほど知られると反対に合うシロモノなのか?と益々疑心暗鬼になるのである。
なお、このTPPを前原外相の裏で指揮をとっているのが、小泉内閣時代金融大臣として弱肉強食の新自由主義政策を推進した竹中平蔵である。ご存知のように、政権交替以前から、前原大臣は小泉元総理の勉強会に出入りし師と崇めてきた人物である。再びセイフティーネットを作らぬまま市場原理に任せることだけが自由で生活が豊かになると考えるアメリカ市場原理主義者が跋扈しているのである。
こうしたなかで、アメリカに長く滞在して世界的に著名な公共経済学の権威宇沢弘文前東大・シカゴ大教授が世話人となって、「TPPを考える国民会議」が発足した。
長年アメリカの社会で暮らし、アメリカ型社会システムの欠陥も弊害も知り尽くした宇沢教授が、先頭にたってTPPの与える深刻なダメージを国民とともに考えていこうとしている意義はハンパなものではない。
その国民会議の資料を詠みながら、随時意見を述べていきたいと思う。
その前に、現実に起きている事実を外観しておくほうが理解しやすいと思うので、オーストラリアの国民の広汎な反対運動を「日刊りベルタ」の安藤丈将氏のリポートで要点を理解しておこう。
【TPPって何なんだ】
オーストラリアでも反対を掲げ市民運動 食・労働・環境・医薬品・メディア・文化などすべてが侵される
TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の有力ないっかくを占めているオーストラリアでも市民グループや教会、労働組合などを軸にTPP参加反対の市民運動が動いている。その主張は「健康、労働、文化、環境政策を取引してはならない」というもの。30以上の市民運動のネットワークが政府への要請行動などを行っている。(安藤丈将)2010年3月14日、30以上のオーストラリアの市民運動のネットワークが貿易大臣に対して、翌日に始まる予定のTPPA(Trans Pacific Partnership Agreement)交渉に関する要請を出した。http://aftinet.org.au/cms/trans-pacific-partnership-agreement/tppa-community-organisation-statement-australian-government
この要請は「健康、労働、文化、環境政策を取引してはならない」と題され、労働組合、エコロジー・グループ、教会グループなどのコミュニティ・グループが名を連ねている。この要請団体の中に名を連ねているAFTINET(公正な貿易と投資のためのオーストラリアネットワーク)は、「米豪FTAの復活―アメリカ企業はTPPAから何を得ようとしていて、私たちには何ができるのか」というパンフレットの中で、TPPによって起こり得る問題として次の点を挙げている。
以下はウェブサイトでお読みください。
→ http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201102112113455
なお、中国、韓国はTPPに参加していません。
次に、
「TPPを考える国民会議」
→ http://tpp.main.jp/home/
このホームにも記載されていますが、政府は検討中といいながら、早くも2月26日から全国で「開国フォーラム」を開催し国民啓蒙を開始します。
この締結ありきの拙速さを不思議に思います。