情況への一言、米大統領選とオバマヒロシマ訪問と靖国オタク議員らの参拝

熊本大地震の被災者にはお悔やみ申し上げる。
どんどん日本全地域が被災地となり、他人の痛みが解るようになるという点が、唯一の慰みとでも言おうか、もちろん逆説として。

さて米大統領選は、クリントンとサンダースの出身地NYでは、結局クリントンが制した。トランプもここでは圧勝した。

Don't be fooled by the ‘new’ Donald Trump
Most "fooled" by Trump want to be "fooled."

これはネオコンの代表的論客ビル・クリストルの発言である。
意味は「新しいさを装っているトランプに騙されるな。トランプに騙された多くのものは騙されることを望んでいる」、である。

ネオコンの論客がトランプ現象に警鐘を鳴らすのはどういう背景からかわからないが、言いえて妙である。
トランプは対岸の問題なので、「新しさ」が民族排外主義であり、女性蔑視であり、エリート白人優位主義であることはよくわかる。

一方復古と民族排外主義と女性蔑視と国家主義の安倍政権は、トランプとさして変わらないのだが、広告代理店や専門の演出スタッフが支えているためもあって、巧妙にオブラートに包んだ発言で国民には見抜かれないように注意を払っている。

しかし言うこととやることに齟齬をきたしているのが、歴代政権のなかで安倍政権の大きな特色になっている。
主観的利害政策に大きく踏み込み、批判がでるとわずかに微調整し、しかし結果として本丸は奪うという「決められる政治」を実行してきた。
トランプのように口汚く目立って、結果共和党主流派からも今や下ろされる拙さとは違う。
わがことと考えれば、「トランプに騙された多くのものは騙されることを望んでいる」と同様、「安倍に騙された多くのものは騙されることを望んでいる」と言える点である。
そういう観点から、トランプの愚劣な発言を合わせ鏡として見ていくことが大事だろう。

次は関連して、いよいよオバマ大統領がヒロシマを訪問しそうだというニュースだ。ただし、ケリーの談話では、原爆投下の謝罪はしないと。
では何のために記念公園を訪問するのか?核廃絶の公約が進まないなかで、保身の政治的パフォーマンスということでしかないのか。

一見関係ないようにみえるが、論理的につながっている話として、みんなで靖国参拝議連(筆者は靖国オタク議員と呼ぶ)が大挙して今年も参拝した。大臣では極右女ヤクザ高市総務大臣法務大臣
彼らは、オバマ靖国を訪問して、アメリカと戦った日本軍人戦死者へ献花してくれとは言わない。そればかりか、外国要人が来日した時も参拝しないと抗議などしない。
かねてより筆者は外務省はじめ極右議員たちを不思議に思ってきた。
まあ外務省は国際的には靖国が敗戦国として特異な位置にあることは理解しているからわかるとしても、極右議員や靖国参拝支持派は抗議しない。

もしかれらがいうように、国民として国のために死んだ戦死者を慰霊するのは自然なことであるというなら、すなわち国家追悼施設として位置付けて、公職者が参拝するなら、外国要人にも献花を要求し、国家の儀礼としてまっとうしなければおかしいではないか。
もちろん筆者は国家主義の立場から仮に述べたとして、という仮定のことであり、そんなことを望んでいるわけではないことは言うまでもないが。

靖国オタク議員らが、この靖国参拝行為が普遍性をもち、万国の儀礼に適っていると自分たちで思っていないからではないのか。

外国要人が、靖国には行かず、千鳥ヶ淵へしばしば行くことに抗議はでないのである。

結論的にいえば、A級戦犯が祀られており、日独伊以外の戦勝国の要人としては、敵の戦争犯罪人に対して敬意をもって参拝できないという単純な話だろう。
オタク議員らも、それをわかっていて外には言えないが、しかし内には国民さえ戦争は悪くなかった、戦争指導者もだから悪くない、A級戦犯などはそもそも東京裁判自体が間違いだから存在しないのだ、と騙せば靖国参拝はなんの問題もないと思っているということだ。

(註)靖国神社については➡「靖国神社を観光パンフのように書くな」http://d.hatena.ne.jp/haigujin/20140830/1409408575

そして事実外には謝罪し、内には歴史修正主義を進めてきた20年であった。
このダブルスタンダードは、結局ますます日本人の誠意を疑われ、信用ならない民族だと国益を棄損している。アメリカの保守系メディアにさえ警戒感を発信されている。
なお、靖国にはラバウルで戦死した叔父が勝手に祀られており、迷惑している。
神社サイドは、遺族の意向は無視して、戦死者はすべて祀るという原則のようである。仏教者もキリスト教社もはなはだ迷惑至極とはこのことである。