優性思想について考えるー市野川保孝東大教授(社会学)於れいわ新選組での講演

 

命についてのレクチャー 講師:市野川容孝先生「優生思想について考える」2020年8月19日

2020年8月19日に党内で、
命についてのレクチャーをオンラインで開催いたしました。

今回の講師、市野川容孝先生より、
読み上げ原稿の公開を承諾いただきましたので、
以下、掲載いたします。


 皆さん、こんにちは。東京大学社会学の教授をしています、市野川容孝(いちのかわ・やすたか)と申します。今日は「優生思想について考える」と題して、お話しさせていただきます。
 今日の話に関連するものとして、私は『優生学と人間社会』(共著,講談社現代新書,2000年)、『身体/生命』(岩波書店,2000年)、『生命倫理とは何か』(編著,平凡社,2002年)といった本を出版してきました。1990年代の後半から障害学(ディスアビリティ・スタディーズ)という学問の、日本での立ち上げにもかかわってきました。現在、その障害学会の学会誌『障害学研究』の編集委員長をしています。障害者の自立生活運動にも、介助者として、かなり長くかかわってきました。
 こういう仕事をする中でお世話になったある方から7月26日にメールが来て、れいわ新選組の大西つねきという人が、「命、選別しないとダメだと思いますよ」「その選択が政治なんですよ」と発言して、れいわから除籍の処分を受けた。しかし、大西さんを除籍して、終わりにするのではなく、党内で勉強会をすることになった。ついては、そこで、優生思想とは何か、その歴史的な系譜を話してほしい、と依頼されました。
 れいわ新選組は、申し訳ないけれども、私の支持政党ではないし、大西つねきさんのお名前も、今回、初めて知った次第です。私が、目下、関わるべきことは、旧優生保護法をめぐる国賠訴訟の方で、この1月には東京地裁で原告被害者側の証人として尋問を受け、証言しましたが、残念ながら、東京地裁が6月30日に出した判決は、原告の訴えを斥けるものでした。昨年5月の仙台地裁の判決でも、原告側の訴えは棄却されました。仙台の原告も、東京の原告も控訴します。そのために私ができることを優先すべきかもしれませんが、お世話になった方からの依頼であり、れいわ新選組の人たちにも、旧優生保護法の問題を知ってもらえれば、という気持ちもあって、この依頼をお受けすることにしました。
 ただし、れいわ新選組が、これからどうすべきなのか、といったことは、私の関知するところではありません。皆さんからの依頼を受けて、これから優生思想について歴史的にお話ししますが、それを受けて、どうすべきかは、皆さんで考えて決めください。
 それから、今日は皆さんからの質問に答えることは、基本、しないでおこうと思います。少なくともそうする前に、私から逆に、これからお話しすることをふまえて、れいわ新選組の皆さん、その支持者の皆さんに、いくつかお尋ねしたいことがありますので、可能な範囲で、それに答えてください。私に質問するよりも、部外者である私の質問に答えていただく方が、れいわ新選組のこれからを見定めていく上で有益だと思いますので、是非、そうしてください。

目次

1.映画『私は訴える』
2.優生思想と優生学
3.優生学とは何か
4.優生学≠ナチズム
5.優生思想としてのナチの安楽死計画
6.日本の優生政策──敗戦後の本格化
◆ 私から、れいわ新選組の皆さんへの質問

以下は、こちらのサイトで読める。

命についてのレクチャー 講師:市野川容孝先生「優生思想について考える」2020年8月19日 | れいわ新選組 (reiwa-shinsengumi.com)