鴻上と代島、白井と何とか学者、
真摯に必死に生きた学生のリンチ殺害死を、ヘラヘラ小ばかにしながらレビュー稼ぎの映画情宣のために利用している。
思った通り、鴻上は言う、「ゲバルトのあとみんな政治から遠ざかり、選挙にも行かなくなった」だと。
リンチ場面を現場にいた者に聞き取った話で、忠実に再現していると誇る。殺された学生が白いセーターを着ていたのも血で真っ赤になったのも忠実に再現していると誇る。
鴻上は普通の学生がこういう酷いことをやったことを描いたと。
先日コメントした通りだ。三流週刊誌のゴシップの視線だ。
福井紳一さんが、この映画の情宣を取り上げ、ひとこと罵声を浴びせていたが、温厚な福井さんが感情宜しからぬものがあったのだろう。少し驚いたが、よく分かる反応だ。
この映画の何が、同時代を生きた者の反感をもたらすのか。
傷を塩で洗う痛みを嗤って見せるからなのか。
社会でなおかつ誠実にブルマスコミに無視されながら矛盾や新しい社会システムを作ってきた元全共闘世代の営みは、カント的な一つの倫理性を持ってきたのだ。
それにしても、橋爪大三郎はすごい。
彼は厳密には東大で全共闘体験はない、演劇をしていた。
だが、俗悪ABEMA番組で、パックンなどクズ芸人チンピラが、学生運動批判と無知をさらすと、正面から受けて、こんこんと反論し、鴻上と同じ政治アパシーを招いたという俗説には原因の一つであったかもしれないが、
しかし敢然と「あの時代世界的にスチューデントパワーは盛り上がり、全共闘以外の方法はなかった」と述べて、「ほかにやり方がありましたか?」と逆質問で畳みかけている。
橋爪は、経験者たちには容赦ない原理的な批判はしているが、ジャーナリスティクな俗論者にはこうして正論を述べるのだ。
経験者たちは、橋爪の学的理路からの批判には「転向者」レッテルを貼っているが、私にはとても納得できるものばかりだ。
態度としては、私と同じスタンスをとるので大した人だと思う。