関西現象学研、
斎藤幸平「マルクス解体」読了。
一回で平らげるので、学術書は大変。
時代のニーズにあった環境問題をマルクスから引き出している点で、学べることも多かった。
文献解釈の本としてみると、労作であっただろうと推測できます。
資本主義のあまりに急激な成長を淘汰すること、あるいは労働者の協働(構想と実践の統合)の管理の元では、当然「低成長」になるのだと。それによる、人間の豊かさは倍増するのだと。
なお、第7章の労働社会の未来予測については、旧来同様の「夢」の感じもしないでもない。
この人は、企業や工場で働いた経験がないため、楽観的過ぎるんじゃないの、という感想。
不満と疑問点。
➋「個人所有」の概念がいきなり出てくるが、平田清明いらい曖昧の概念としていま一つ解らない。
➌「経済思想家」と自称するが、マルキストはやはりみんな革命論=権力論を語るのだがそれが皆無というのが、今時風なのかな。但し、本人はボランティア活動にいくつかかかわっているとのことだ。革命政治運動とは距離をとっている。
➍私の疑問は、自由の問題だ。生活の豊かさはどういうものか。
つまり資本主義での絶え間ない「希少性」は問題なことはわかる。しかし、ひと人がワクワクする、とか、新しい使用価値を手にしたり、生活シーンでのワクワク感=「麻薬としての自由感」は捨てて、何か別なワクワク感がありうるのか?
歴史的に、人間は自由の感覚、特に資本主義では自由の感覚が膨大に解放された時代だ。このところがいま一つイメージが湧かない。
本当は、今後折にふれてこの本に触れざるをえないだろうことを思うと、
もう少し丁寧にノートをとっておくべきだろう、と反省。