俳愚人 blog

無名著述家、無名俳人、著書数冊

欧州は極右以上に左翼も伸びている❣左翼の団結と保守の連携で極右政権成立を阻止❣

研究会の資料として、松岡裕児氏(フランス在住のジャーナリスト)による最近の欧州の政治情勢から、日本の左派の問題点炙り出した貴重な論稿です。
中でも、アメリカと日本の「リベラル」というタームが、欧州では極右=新自由主義をさし、日本的な意味では「ソシアル」と呼ばれている点である。
そりゃあそうだよな、と得心した。
これは最近私も意識的に「ソシアル」に替えている。
そして本日杉並区の市民活動家内田聖子さんの講演会で知ったが、区長後援会の名称が「ソシアルサトコズ」であった、見事なネーミングだ。
以下参考資料「欧州左翼復活の時代に日本左翼が見失った『果たすべき役割』」(紙の爆弾1月号)より概要をまとめたものである。
 1,2024年総選挙 
*英国、労働党政権誕生。
*ドイツ、連邦議会選挙、
 ・極右AFD152議席獲得第二党。
 ・左翼党(Die Linke)39議席➡64議席へ(議席5%から
  10%へ)。比例区得票率8.77%、日本の公明党と同じ。
  得票は比例区4.97%。合計13.7%となる。
  (日本で言えば第二党に匹敵)フランス国民議会全577議席
 ・左翼政党フランス不服従(LFI)74議席13.3%)。
 ・共産党8議席(1.4%)。
 ・社会党(与党)59議席(10.02%)。
欧州議会(全705議席) 
 ・極右=欧州懐疑派191議席(伸長54議席)(24.1%)。 
 ・欧州統一左派、北方緑左派同盟(ユーロコミュニズ)46議席(伸長6
  議席)(6.5%)
 ・無所属、新左翼も数議席獲得。
 【分析】
   極右も左翼も伸びている。
   政策的課題は同一である。格差拡大の解消であり、イデオロギーの左右ではない。
   上下の問題である。 
   フランスはじめ、「リベラル」は右派=新自由主義を指す。「リベラル」とは、
   サッチャーレーガン、トランプ、テクノ・リバタリアンなど。
   対する日本的「リベラル」の意味では、「ソシアル」という。
   ジャン・マリー時代は、極右「リベラル」の時代、娘のマリーヌは「ソシアル」を
   全面に出している。すなわち、特徴と問題は、極右の「ソシアル」化である。
   またフランスの場合、「極左」は反共産党トロツキスト毛沢東主義を指し、
   「急進左派」はフランス革命以来伝統左派―現在の「穏健左派」を指す。
   「左派」は20以上の政党がある。これが国民投票では一本化した。 
2.欧と米の違い
  ・欧州は「ライン資本主義」で、英米の資本主義とは異な
   る。かつて独アデナウアー(保守・キリスト教民主同盟
   は「社会的市場経済」と規定。
   仏は国家=国民共同体認識、水道電気等公共サービスは社
   会所有とし、きめ細かな平等への配慮が実践されている。   
  ・米国の社会主義ないし共産主義の理解。
   「一世紀以上にわたり、共産主義は破滅をもたらしてき
    た。その拡大する所では、反対意見を封じ込め、信仰を
    罰し、自由のために立ち上がるのではなく、国家権力の
    前に跪くことを何世代にもわたって要求する。
    その歴史は血と悲しみに彩られ、共産主義とは隷属の別
    名に過ぎないことを痛烈に思い知らせている。」(ホワ
    イトハウス)。
    すなわちソ連、東欧は、国家社会主義ないし独裁資本主
    義。国家の官僚が搾取した。イデオロギーからみれば、
    共産主義ではすべてが「社会的所有」となり、国家は消
    滅するため、国家権力に拝跪することはあり得ない。
    「冷戦終結から34年、世界は民主主義の勝利と、新たな
    形態の専制政治の存続を目のあたりにした。新たな声は
    今、『社会正義』や『民主的社会主義』という言葉で
    覆い隠して古い嘘を繰り返しているが、彼らのメッセー
    ジは変わらない」(ホワイトハウス)。
    民主社会主義者マムダニ(ニューヨーク市長)の批判➡
    ホワイトハウスは、「民主社会主義」と「共産主義」を
    いっしょくたにした「赤狩り」だ。 
  ・日本
    社会主義の特徴(東証マネ部の説明)
     貧富の差がほとんど生じない。(中略)
     インセンティブの欠如
     特権階級による富の独占
     ―旧ソ連型、中国のイメージ。
     「特権階級に富が独占されやすいことも、社会主義の問
     題点です。
     本来、社会主義は平等を目指す思想であるにもかかわら
     ず、多くの社会主義国で特権階級による富の独占がおこ
     なわれ、貧富の差が拡大しました。
     また、官僚主義で非効率な政治が行われることで、国家
     の成長を妨げる点も問題です。さらに、社会主義国家が
     民衆にっ政治的弾圧を加えるなどの問題も発生しました。」
  ・フランス
    社会主義は所得の完全な集団化を目指すのではなく、生
    産手段の集団化と所得分配のための市場メカニズムの維
    持を特徴とする。このシステムでは、各個人は、自身の
    努力に応じて所得を受け取る。
    社会主義者集団主義的志向は時とともに緩和された。
    今日では、彼らの大多数は、生産手段の私的所有権の維
    持と市場の命ずる分配を両立する所得の再配分により好
    意的であり、国家は特に教育、住宅、雇用などの分野に
    おいて社会的不平等が可能な限り縮小されるように見守
    る。このように理解される社会主義は、市場システムを
    廃止するのではなく、適応させることを目的とするた
    め、実際には社会民主主義的な志向である。
    (alutenatives-economiques用語解説)
    社会主義では、生産手段は政府、協同組合、個人に属
    し、さまざまなレベルでの公有と私有がある混合経済で
    ある。
    また、民主主義の大前提として、国家は国民すべての共
    同体である(支配/被支配ではない)。市民社会と国家
    の合体によって「国民の共同体」化を実現。
  英米市民社会の確立、日本は戦後アメリカ式民主主義の形
  式的移植によって、「お上/下々」の構造が温存された。
3.社会民主党共産主義の違い
    社会主義の向こうにさらにユートピアを見、その信仰を
    持っているかどうか。
   ピケティ、
    「スーパー経営者」の労働対価のべらぼうな報酬は労働
    者の搾取のみならず、ファイナンス世界の作用。
    産業革命の疎外とグローバリゼーションの疎外の違い、
    階級の多様化と産業構造の多様化。明らかにマルクス
    時代と違う複雑さ。
4.左翼の果たすべき方向性
   従来の福祉国家、植民地解放以後の階級闘争―「下」に寄
   り添うビジョンが見い出せていない。
   日本―ポピュリズム合戦に陥っている。社会民主主義党派
   の右派亜流から脱却させるべき。
   例えば、証券取引税の創設など、実体経済ファイナンス
   経済の不公正の是正、
   少子高齢化時代にマッチした賦課・積立以外の第三方式の年金や社会保障と労働力の
   確保、差別なき治安対策、WORKEではない共生、地産地消の環境対策、平和外交
   等々、新しいパラダイムの具体的展開。
  ・補完性原則。
  ・国民の共同体としての国家。 
  ・極右を「下」の受け皿にさせない。
  ・米国植民地的政策を脱する(トランプ80兆円の無批判)
  ・共産党の内部構造のコミンテルン的残滓の克服、搾取の党内滅私奉公廃止
  ・ウクライナ戦争以後の国連無力化のなかで、新たな専守防衛構想と平和運動
   (第三国からの移民攻勢、サボタージュフェイクニュースサイバー攻撃など)
  ・左翼の連帯―フランス25年総選挙で新人民戦線(社会党・エコロジスト・
    LFI・共産党)として連帯。
   第一回投票では、極右国民連合(RN)が第一位選挙区297、新人民戦線157、
   アンサンブル(マクロン与党連合)70。
   決戦投票(2回投票制)では、新人民戦線315選挙区で3位以下の候補者の
   撤退を決めて、三つ巴の票の分散を阻止、「反ファシスト」「極右は絶対ダメ」
   とし、新人民戦線193、与党連合165、RNとその連帯143となり、
    極右の過半数を阻止した。 
  ・日本は極右政党の連立に対抗するリベラル野党の団結。
(以上)