前回医師不足の医療制度破綻を問題にしたのだが、ためにする民主党マニフェスト叩きの典型のようなブログを批判しておく。
yukikazeさんの「Wind Rose」とかいうブログである。
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http://yukikaze0808.blog.so-net.ne.jp/2009-08-01
数値的なデータを挙げて実証的に論じているので、ついなるほどと思わせる仕立てになっている。
恐らくこうした医学関係のデータをそろえられる方だから、データ自体は間違っていないだろうし、参考にはなる。
ただ前回も書いたが、こういう尤もらしい数値を細々並べる話はペテンだから気をつけようと書いた。
つまりためにする反対意見だから、問題の本質を転倒させてしまう。
1.そもそも、医師不足のこの疲弊しきった医療現場をつくったのは誰だ?
2.そして本気でそれを解決しようと提案したのは誰か?
3.遅れて選挙の対抗上マニュフェストらしきものを出して、「政争の道具」としてしか、問題 をみていないのは誰か?
1.については、明らかに自民公明の長期政権の結果、引き起こしている問題ではないのか。それを今まで民主党は批判して、改善策として医師の1.5倍増増員を目標目安としているはずである。
2.3.「本気で」、というのは日頃この医師不足が問題になって既に久しい。いたるところで医師不足により現場医師の集団退職や医科廃止や加重労働が問題になってきた。
政権与党の自民公明ならば、いち早く手を打ち明確な指針と対策案が発表できたはずである。それを選挙にならないと、つまり政治がらみにならないと何の方針もでてこないという民主党マニフェストへの受身的対策でしかないところに、それこそ「信用できない」という本質的問題が宿っているのであって、kazeyukiさんの論は全く転倒している。
自民党案が700人増で数字的に計算上合っているようだから信用できる、などという寝とぼけたことを言っている限り、まず医師不足が速やかに解決することはない。
なぜか?
それは自民党や厚労省の現行スキームを前提にしているからであり、1.5倍に増員する方法の模索を現状の方法の観直しをして、新規のスキームをどう作るかという思想が抜け落ちているからである。
民主党は期限を4年と限定しているわけではない。
曖昧といえば曖昧な点もあるだろう。
しかし私のような素人でも、もし4年でなんとかしようといえば幾つかの案は考えられるし、技術水準なんかは現場サポート体制の工夫でどうにでもなる。また自民公明の時代に、一朝一夕には医師は育たないと判っていながらこれだけ放置したわけだから、むしろその責任は自民公明厚労省と医師会にあるだろう。
私の知る限り、医師育成に国立大医学部がそれらしい取り組みを始めたのは、今年からである。つまりスタートは来年度からである。
それも、地方大学が地元医師の確保が目的で、地元に定着する縛りをかけて、6年間の授業料約800万円の免除ぐらいで、それ自体が全国的な医師増員策になるようなものではない。
民主党マニフェストがでてきてあわてて「政治的対処」として僅か700人増員が発表されたにすぎないではないか。
これは高速道路1000円サービスといっしょで、財源がないなどとさんざん言ってきた挙句、政治的アピールとして何の根拠もなしにいきなりサービス料金を設定したわけで、いつまで自民公明はそういう「政治対処」的手法をもってしか政治ができないのだ?
今問われているのは、生活者視点で生活に直結して問題が噴出しているところへの、不断改善としての「生活者」のための対策で、「自民公明」の選挙対策ではないのである。
自民公明が政権の座を維持する目的の場合にのみ、止む無く生活者問題へのわずかな対策を発表する、その姿勢が堕落したということなのだ。
つまり国民全体への利益配分への無神経さ。
こういう尤もらしい数字的ペテンによって本質を見誤ってはいけないという典型的見本なので、これからもこういう重箱の隅をつつくようなブログには注意したほうがいい。