医師会にも民主党の風-医師残酷物語

下町の太陽さんの国会傍聴記とうブログで、兵庫県医師会の動きを報じていた。最も強固で安定した自民党支援組織のはずが、自民vs民主とほぼ半々に分解しているようだ。


兵庫11区(姫路市含む広域)では、父親の代からつづく厚労族の自民元政務次官戸井田徹氏から、民主党松本剛明政調会長に推薦を変更したということである。この民主党松本氏も父親は自民の松本十郎防衛庁長官だから、地方では余程集金力がないと、こういうカンバンが既得権益化した一族からしか議員立候補自体ができないことをよく示している。
まあ、この問題は別に譲るとして、医師会の変化という問題である。

 (参考:下町の太陽
  http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/993e2059fef42b5d802bf4c10c8dbdef)


県内12選挙区の内、自民公明推薦5人、民主1人、残り6区はまとまらず自主投票となった、ということだから、地域の開業医など金持ち医師でも自民の診療報酬改定には不満が表面化しているということだろう。


ただ開業医など金持ちの医師は相変わらず欲得での動きだろうから知ったことじゃないわけだが、問題は医師不足による勤務医の過酷な勤務状態である。


私事で恐縮だが、わが愚娘が今医師の就職活動をしているのだが、報告を聴くにつけこの国の医療は間違いなく破綻していると思わざるを得ない。


愚娘は、200人の同学年生中大阪出身者は3割ほどいるそうだが、そのうちの親しい友達10人程は一人も出身地大阪に戻らない。開業医のドラ息子は戻るのだが、勤務医となる友人たちは、戻って就職したくても給料がOLと変わらない程度にまで安くなってしまっている上に、その勤務時間は恐怖を覚えるということのようだ。


東京、中京地区、関西地区と全国を飛び歩いて調べた結果、大都市は東京も関西も低給与の上、休日が月に2、3日などは当たり前とのことである。
医師には労基法も関係ないようだ。彼らの医師としての使命感だけがこの残酷物語に耐えている。


特に酷いのは大阪のようで、しばしば医師の集団退職が新聞を賑わしたが、給与水準の低下が著しく、40歳代での高額と低額地域の比較をすると、年収ベースで500万円〜1000万円近い開が出てくると愚娘はため息をつく。
(現在の国家公務員医師平均40歳ぐらいで年1100万円程度、公立はそれにちょい乗せぐらい、民間病院1500万円程度、国公立では大企業のサラリーマン給与と大差はなく勤務実態からすると過酷。)

 (参考:リハ医師ブログhttp://d.hatena.ne.jp/zundamoon07/20080811/1218467622)


子息を医師にすることが、我が家のような安サラリーの家計では困難を極め、国立といえども学費と仕送り費捻出に家まで売らざるを得ない程高負担を個人に強要しているわけだが、この自民公明の施策は、この国から完全に国民なら誰でも医師になれるチャンスの機会平等を奪い、皆医療制度を崩壊させていることを裏付ける話である。


橋本知事も大阪府単年度黒字化はご立派だが、こと医療や教育に市場原理主義者のようなことを言っていると、数年もすると大阪には最先端の知識を持った若い医師はいなくなって、老人医師ばかりになった挙句、医療機関の閉鎖が相次ぐ悪夢が待っていると思っておいた方がいい。


兵庫県医師会の動きが、是非自分たちだけの利得のために民主党へ保険をかけるようなことではなく、こうした医師と国民双方にとって適切な制度設計へ向けた意向として、民主党への支援を強めて、民主党の政策監視を行っていって欲しいものだと思う。


そして相変わらず自民公明を5人も推薦するKYな腐った医師の思想改造と、金満医師を放逐して「金満医師会」と「国民医師会」を解り安く別組織にしていただきたい。われわれ市民は、病院の入り口に張られた医師会のシールを見て「国民医師会」へは行くが、「金満医師会」へは絶対行かないようにするから。